「お笑いは今まで何もいいことのなかった奴の復讐劇なんだよ!」
妬み嫉みの感情をむき出しにして、それを笑いに変えるお笑いコンビ・ウエストランド。飄飄としたボケの河本太に、ネタ作り&ツッコミ担当の井口浩之が、僻み根性丸出しで鋭くツッコんでいく。
2012年のTHE MANZAIで決勝進出をあと一歩のところで逃した2人が、ついに8年の時を経て、M-1の決勝戦にコマを進めた。誰も傷つけないお笑いが求められる時代に、“無作為に人を傷つける”漫才をする2人に決勝戦への思いを直撃した。(全3回の1回目。#2、#3を読む)
◆◆◆
周りの人たちが喜んでくれているのが嬉しい
――M-1決勝戦進出おめでとうございます。決まった瞬間はどんなご心境でしたか?
井口 本当にほっとしたというか、よかったぁという感じでしたね。まぁもちろん嬉しかったですけど。「やっと行けた!」っていう、なんか安堵の気持ちの方が大きかったですね。
河本 例年、吉本さん所属のコンビが強いじゃないですか。だから、吉本さんじゃない錦鯉さんと東京ホテイソンが呼ばれた時に、「さすがにもう3組はないだろうな」と思ってあきらめていたんですよ。そこで名前が呼ばれたんで、しばらく頭に入ってきませんでした。だからリアクションがちょっと遅れちゃった。「ウエストランド」って言われて、一拍置いたくらいで「えっ」ってなりましたね。
――決勝進出直後のインタビューでは「まだ実感が湧かない」と答えられていましたが、実感は湧いてきましたか?
井口 行くところ行くところで、「おめでとう」とか「頑張れよ」と言ってもらえるので、徐々に湧いてきましたね。自分たちが嬉しいというよりも、周りの人たちが喜んでくれているのが嬉しいし、ありがたいですね。
同じ立場だったら、同じように祝える自信ないですよ
――ウエストランドの名前が呼ばれた時、周囲の芸人仲間からも喜びの声があがっていました。
井口 多分、僕らが一番長いこと決勝に行けてないんですよ。錦鯉さんとかは先輩ですけど、コンビを組んで賞レースでいいところまで残るようになってきたのは数年前とかなんで。
僕らは、2012年にまだ賞レースだったTHE MANZAIの準決勝で16位になって、ギリギリ決勝に行けなかったんです。それからずっと行けてないので、周りの仲間はそれをわかっていてくれているから、喜んでくれたのかなと思います。
――苦労している姿を見ていたからこそ、周りの芸人さんも喜んでくれたんですね。
井口 東京ホテイソンとか僕ら以上に喜んでくれたり、今年がラストイヤーだった三四郎の相田さんが、「これからはウエストランドを応援しよう」ってみんなに言ってくれたり、決勝に出られなかったゆにばーすの川瀬名人とかも「おめでとうございます」って言ってくれたり…。その人たちが一番、悔しいはずなのに、「良かったね」と言ってくれたのは、すごく胸に響きましたね。
河本 僕らが同じ立場だったら、同じようにお祝いできる自信ないですよ。
井口 僕らだったら、絶対に言わないですね(笑)。映りだけは気にして、カメラ止まった瞬間、すぐに帰ると思います(笑)。