1ページ目から読む
2/4ページ目
山口組3代目・田岡一雄組長と兄弟分に
開業後も著名人で連日賑わった。TSK・CCCは家族連れも歓迎し、長嶋茂雄氏が気さくに子供にサインする姿も写っている。今も復帰が望まれる歌手のちあきなおみ氏らが歌い、毎夜、パーティが開かれた。
町井久之氏の独特な経歴
町井氏は1923年、在日韓国人2世として東京で生まれた。TSK・CCCを開いたのは50歳の時だった。
戦後、愚連隊を率いて銀座に進出し、反共産主義を掲げて朝鮮総連と対立した。暴力団「東声会」を結成し、構成員は1000人を超えた。身長180センチを超え、親しかった1歳下のプロレスラー力道山より腕相撲が強いと言われた。
他の暴力団との抗争を経て、山口組3代目・田岡一雄組長と兄弟分になり、日本の黒幕・児玉誉士夫氏の知己を得て、日韓両国で人脈を広げていく。
日本の政界では、元首相の岸信介氏、自民党を結成した1人で、党人派の重鎮・大野伴睦氏、自民党副総裁となる川島正次郎氏ら。韓国の政界では、軍事クーデターを起こして政権に就いた朴正煕大統領とパイプを作った。町井氏は「日韓の懸け橋になる」と言って、65年の日韓国交正常化に動き、山口県下関と韓国釜山を結ぶ関釜フェリー就航に尽力した。
日韓を繋ぐ濃い人脈の形成に功罪はあるが、それが薄くなったために近年の日韓対立が生まれたという見方もできるだろう。