アメリカの有力メディア「ブルームバーグ」は、毎月「ポップスター・パワー・ランキング(世界で最も影響力のあるポップスターのランキング)」を発表する。3ヶ月間のライブ総収益、30日間のライブチケット売上、アルバムの売上、ストリーミングの再生回数、YouTubeの再生回数、Instagram活動などがその基準となる。
たとえば2020年12月の場合、1位はアリアナ・グランデ、2位はBTS、3位はジャスティン・ビーバーだった。11月に1位に選ばれたのは、K-POPガールグループBLACKPINK。ポップ・スモーク、Cardi B、ジャスティン・ビーバーが次に並んでいた。アジアのアーティストがこのランキングで1位になったのは初めてだったという。
2016年のデビュー以来、BLACKPINKはデジタルプラットフォームとレコード市場、ライブ市場をまたぎながら様々な記録を作り出してきた。YouTubeのチャンネル登録者数5570万人で、ジャスティン・ビーバー(6040万人)に続き、全世界のアーティストの中で2番目に多い数字。実際、「DDU-DU DDU-DU」(2018年、約14.6億回)をはじめ、「Kill This Love」(2019年、約11.8億回)、「BOOMBAYAH」(2016年、約10.8億回)、「AS IF IT'S YOUR LAST」(2017年、約9.5億回)など、YouTube公式チャンネルの総再生回数は152億回を超えている(いずれも2021年1月17日現在)。
2019年には、アメリカ最大の音楽フェスのひとつ「コーチェラ・フェスティバル」をはじめ、23の都市でワールドツアーを成功させた。2020年に発売され、米ビルボード・アルバム・チャート(Billboard 200)と英オフィシャルチャートで2位にランクインしたファースト・アルバム『THE ALBUM』は、125万枚の売り上げを記録した。
これらの成果の多くには「K-POPガールグループとしては初」という説明が付いている。実現するまでは、どれも「K-POPのガールグループには不可能だ」とされていたことばかりだ。まさにその前後のギャップに、数字だけでは表れないBLACKPINKの「影響力」が潜んでいる。彼女たちの影響力は、「アイドル」と「女性アーティスト」両方に向けられていた偏見を乗り越えたことで勝ち取った、音楽的かつ社会的なものだからだ。そしてそれは、BLACKPINK にいたるまでの様々なK-POP女性アイドルたちの経験と成果がローカルかつグローバルに積み重なった結果でもある。