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連載テレビ健康診断

障害者と「部落問題」を考える 『バリバラ』はバラエティーとしてどうなのか――青木るえか「テレビ健康診断」

『バリバラ』(Eテレ)

2020/12/29

『バリバラ』の「Baribara×BURAKU」を見て考えてしまった。

『バリバラ』という番組が何を目指しているのかはよくわかる。Eテレを売却してNHKの受信料下げろと誰かが言ってたが、『バリバラ』はEテレじゃなきゃつくられない番組だし、それ一つとってもEテレを売るのは間違っている。だって売られたEテレは視聴率アップを目指して売らんかなの番組ばかりつくるようになりそうじゃないですか。

©iStock.com

 でもそれって「『バリバラ』は面白くない」って言ってることにならないか?……と自分に問うてみて、そしてぐっと詰まる。

 今回の「部落問題」。今までも「障害者と性」みたいな踏み込んだ内容を扱っていたし、部落が出てきたからって今さら驚くようなことはない。

 じゃあどう扱うか。

『バリバラ』は「今までにないやり方」で、「今まで人が目を向けてこなかったものに気づかせ」ようとする番組で、「明るく」「ポップに」「楽しく」、シリアスな話題をことによっては笑わせたりすることで、多くの人に入っていけるようにしようとしている。番組の謳い文句は「障害者情報バラエティー」で、そういうものを目指すと宣言してるわけです。

 しかし、これはバラエティーなのだろうか。私は民放のバラエティー番組は好きじゃない。スタジオの空気も好きじゃないし、ああいうノリは嫌いだ。では『バリバラ』はバラエティーとしてどうか、というと、「そんなに嫌ではない。しかしバラエティー番組としての完成度は……」。

 以前、『バリバラ』が、「24時間テレビ」の裏で「笑いは地球を救う」というのをやり、障害者の側からけっこうキツイことを「バラエティー」として健常者に突きつけたというのがあって、ああ確かにこういうのはこの番組でしかできないことだよな、と納得した。

 この部落テーマでは、部落に住むふつうの人たちが、生き生き暮らしながら、それでもまだある差別の有様を明るく語っていく、つまり部落というのはタブーじゃなくて日常なんだよ、と視聴者に投げかけるわけだが(ロケされてた町、住み心地良さそうだったなー)、それを紹介していくトークもロケも構成も、地方局ローカル午後ワイド的なゆるさで(どんな話題もつっこみが薄く、みんな笑顔でいる)、「部落問題を扱うから、あえてのゆるさ」なのか「問題の取り上げ方がうまくハマっていない」のか、あるいは「単に、うまくできなかった」のかがわからない。うーん。

 部落問題はたまにしかやらないんで、つい手探りで、ネタを深化できないんだろうか。じゃあこれからも部落問題をガンガンやり続けてほしい。それはすごく重要だし正しい。

INFORMATION

『バリバラ』
Eテレ 木 20:00~
http://www6.nhk.or.jp/baribara/index.html

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