『夢で逢えたら』終了後、ダウンタウンとウッチャンナンチャンはお笑い第3世代の旗手としてバラエティ界に君臨する。一方野沢直子は人気絶頂でアメリカへ。清水ミチコもまた、彼ら彼女らとは別の道を歩みだす。
テレビに「消費」されないその芸人人生は、その後の芸人たちに多大な影響をもたらしている。今やたくさんの後輩に慕われる存在となった彼女に、現代の女性芸人はどのように映るのだろうか。強者しかネタにしてこなかった清水ミチコの「卑屈」の哲学。(全3回中の3回/1回目から読む)
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誰よりも早く「テレビ離れ」した理由
——そう考えると、清水ミチコさんは誰よりも早く「テレビ離れ」されていた。自由にできるライブを中心にやってきて、成功されてる。テレビでガツガツせずにやっていこうという、東京03が目指したその形。
清水 私の場合はそこしか場所がなかったというだけで。でも、03もそうですけど、バナナマンとか、さまぁ~ずとか、今はおっとりしてる感じの人のほうがよさそうですもんね。「頑張ってます!」というよりも。
——清水さんは一番激しいところにいらっしゃったわけですもんね。若手時代のダウンタウンさんとかウッチャンナンチャンさんとか。
清水 そんなことないですよ。ダウンタウンさんはそうだったかもしれないですけど、ウンナンのほうが「負けないぞ」というのは出さず、ダウンタウンを先輩として立てていて、バランスもすごくよかったと思います。あれで「関西人に負けないぜ」みたいなのがあったら、ちょっと難しかったかもしれない。でも、ウンナンの性格がとにかくよかったから。
——そうだったんですね。
清水 女性芸人を見てても感じるんですけど、やっぱりみんなすごい性格がいいんですよね。カメラの前に立って「私を見て」ではなく「私で笑ってください」という人たちなので、自然に人を立てたりすることができるから。
——あいつを蹴落としてやる的な感じじゃない。
清水 そうですね。先輩からいじめを受けたみたいな話もあんまり聞かないし。
——清水さんご自身も「蹴落として上に行く」感覚はなかったですか。
清水 ないないないない。「もう少し前に出たら?」って注意をよく受けてました、プロデューサーに。声を張ることと、前に出ること。「爪痕を残せ」って。
——それをやろうとされていた時期はあるんですか?
清水 注意された時は「やろう」と思うんですけど、いざ始まるとできない。