作家志望から自らがステージに立つ演者へ。タモリに憧れてテレビの世界へ来た清水ミチコを待っていたのは、瞬発力の試される「平場」だった。ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、野沢直子……90年代バラエティの流れを決定づけた伝説の番組『夢で逢えたら』で、清水ミチコが感じた「テレビの限界」と「本当にやりたかったこと」。(全3回中の2回/3回目を読む)
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周囲は“化け物”だらけ、うまくパスを受けられなかった
——『夢で逢えたら』から、その後のダウンタウンさん、ウッチャンナンチャンさんの活躍は言わずもがなですが、「天下を取るだろうな」という片鱗はありましたか?
清水 そうですね。ダウンタウンは全然ありましたね。だって、終わっても面白いんですもん。本番が終わっても、その帰り道の廊下でまたふざけてるのがめっちゃおかしくて。なんだこの化け物、って思いましたね。
——そんな「化け物」たちからアドバイスはあったりしましたか。
清水 はっきりは言わないですけど、でも、パスをくれたり、アイコンタクトで「今やれよ」みたいなのもありました。でもそれが照れちゃうというか、うまくパスを受けられない時も多かった。
——しかし『夢で逢えたら』で一番に思い出すのって、「伊集院みどり」なんです。清水ミチコさんの超人気キャラクター。みどりはどうやって生まれたんでしょうか。
清水 「後ろから見るとミニスカートにロングヘアできれいな人なのに、ナンパして振り返ったらブスだった」というのが当時の台本に書いてありました。それで思いっきり自分の欠点を……おでこを出して、眉を太くして、やっちゃいけないメイクの全部逆をいったらすごい褒められて。
知り合いの「みどり」にそっくりだって言われたんですよね。そんな人居るのかと思ったんだけど(笑)。名前もそれで決まっちゃいました。
——実在!!
清水 そうそう、フジテレビにいて。『夢で逢えたら』のメンバーみんなで「みどりさんっていう人がいるらしいから」ということで、そーっと見に行ったこともありました(笑)。
——実際……似てました?
清水 ちょこっと似てました。
——清水さん的にはみどりのどういうところが視聴者にウケたんだと思いますか?
清水 怒らすんだと思うんですよね。しゃべり方とか、無神経な感じとか。怒ると人間って笑うんですって。イラッとくるのが笑ってしまう。