2018年 見取り図 88点
「前半が古いです、笑いが。私たちがやってた頃のなんか、懐かしい。後半でガッーといってほしかった。時間が足りなかったかな。惜しい」
大阪の漫才師は東京の漫才師に比べると、ひとひねりした設定のネタをすることが少なく、オーソドックスな設定を好む傾向がある。そのためネタの中身がややありきたりになったりすることがあり、2018年の見取り図もその罠にハマっていたのかもしれない。そんな「ネタの甘さ」を上沼は「古い」と見抜いた。この厳しいコメントを糧にネタ作りに励み、見取り図は何段階も進化して2020年のM-1で最終決戦まで進出した。これも上沼なりの愛のあるエールだった。
2018年 ジャルジャル 88点
「フラんといて。ジャルジャルのファンなんですが、ネタが嫌いや、ごめん」
ジャルジャルの「国名わけっこ」というゲーム感覚のネタは、上沼にはわかりにくかったのだろう。会場は大ウケで、他の審査員は全員が90点以上をつけた。空気を読んで高得点をつけるのは簡単だが、上沼は本音を決して曲げない。あくまでも自分の目にどう映ったかにこだわっていた。
2018年 ギャロップ 89点
「自虐いうのはあんまりウケない。自分を蔑むというのは基本的にウケない。というのはこれくらいのキャリアなら知っとかないかん。何しとったんや、今まで」
M-1では珍しくシンプルな自虐ネタを披露したギャロップ。M-1というのは漫才の日本一を決める大会なのだから、そこで安易な笑いのとり方を選んではいけないという考えがあったのかもしれない。上沼にはギャロップのハゲネタの未完成な部分が目についたのだろう。
2018年 トム・ブラウン 86点
「感動しました。ただ、ちょっと未来のお笑いという感じかな。私には年だからついていけないや。ごめんなさい。でもおもしろかった。どんどん上がっていったもん。盛り上がるっていうのは力ですからね。これからだと思います。でも、私は今日(だけ)でいいや」
サザエさんの中島くんを5人合体させてナカジMAXを作る、という異次元のネタを披露したトム・ブラウン。それに対して「感動しました」と言いつつも「ついていけないや」とコメント。自分がネタの面白さをわからなかったときは「わからなかった」と言う上沼の正直さが出ている。それでも目の前でお客さんがウケていた事実は認め、その部分は評価した。