特に「粉もの」の利益率は高い
露店を出すには、「庭場」と称する地域を管理している暴力団に、「今年は3本出したい」などと出店を申し出るという。扱う商品についても同時に申し出ることで、他のテキヤとバッティングしないように調整される。この際、出店料にあたるいわゆるショバ代(場所代)が必要で、地域によって1店舗あたり5000円~2万円という。
人気初詣スポットに店を出すと、大きな利益が生まれる。特に「粉もの」の利益率が高いという。
「例えば、カステラ菓子などの材料は小麦粉と水、砂糖ぐらい。材料費はわずかで儲けは大きい。綿菓子も道具さえあれば、あとは基本的に材料は砂糖だけ。だから例年、東京の人気初詣スポットでは、大晦日から正月の三が日で、多い時には1店舗で100万円単位での売り上げがある。それを3~4店出すことが多い。もちろん店舗を出す場所や扱う物によってはトントンの場合もあるが……」(前出・テキヤの暴力団幹部)
花見、花火…今年は全滅状態
こうしたテキヤの商売は、初詣の後も、春の花見、夏祭り、酉の市、ほおずき市、羽子板市など、年間を通して続く。さらに、東京ばかりか全国各地で数多くのイベントが開催される。全国の庭場を管理している暴力団にとっても、定期的に安定した収入が確保できるシノギだ。前出のテキヤ幹部が続ける。
「初詣と並んで、花見は上野公園など場所によっては昼過ぎから夜までとお客さんが来てくれる時間が長いうえに、期間も1週間ぐらいにわたり、かなり大きな商売ができる。花火大会などは1日で終わってしまうが、昼過ぎから場所取りのお客さんが来てくれて、かなりの商売になる。しかし、今年はコロナ感染で全てがダメだった。花見のシーズンは緊急事態宣言が発令中。隅田川花火大会も早々に中止。初詣もこの調子だと、先が思いやられる」
コロナの感染拡大で、首都圏ではJR東日本や東京メトロ、私鉄各線も大晦日の終夜運転を取りやめることを発表している。稼ぎ時の初詣に参拝客が押し寄せることはなさそうだ。テキヤ業界も、厳しい年末年始を迎えることになる。