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東海林さだお83歳が語る“性事”のこと「いかにも“おじいさん”の見た目になっていくのが嫌で…」

東海林さだおさん×田原総一朗さん対談「好奇心と性が僕らの原動力」より#2

source : オール讀物 2020年11月号

genre : エンタメ, 読書, 働き方, 社会, ライフスタイル, ヘルス

note

嘘をつかない、建前を言わない

田原 僕はテレビの仕事が多いですが、テレビ番組はスタッフたちとの共同制作です。スタッフから信頼されなくなったらアウトだと思っています。

東海林 そういう世界で働き続けるのは怖くありませんか?

田原 絶対にスタッフに嘘をつかないと決めています。建前を言わない。すべて本音で話すようにしています。僕がスタッフによく言うのが、「番組を続けようと思って作るな」と。一本一本勝負する、それが結果的に番組として続いていけば良い、という考えです。

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東海林 ああ、僕も仕事は毎回最善を尽くしていますね。誰かが監視しているわけではないので、手を抜こうと思ったらいくらでも抜けるんです。自分で「作品の質が落ちてきたな」と感じたときは、そこが辞め時なのだと思っています。

田原 僕が今ハッピーなのは、42歳のときに会社(現・テレビ東京)を辞めなくてはならなかったからだと思っています。日本の会社は、社員が好奇心を持ってはいけない仕組みになっている。言いたいことを言っていたら出世ができなくなるし、下手したら左遷される。

東海林 サラリーマンにとって好奇心は邪魔になる場合がありますよね。

60過ぎたら組織に属さず、権力に頼らず働く

田原 定年制というのもロクでもない。会社に勤めている間は頑張ることができても、定年を迎えたらすべて終わってしまう。サラリーマンは、ゴルフや麻雀などの趣味も、人間関係もすべて会社のなかで完結している人が多いですから、定年とともに孤独になってしまう。

東海林 でも会社の定年がなくなって、80歳、90歳の社員がたくさんいるようになったら、それはそれで……。

田原 そんな会社はダメだ(笑)。60過ぎたら組織に属さず、権力に頼らず働くことが必要になってくると思います。

 

東海林 田原さんは何歳まで働きたいですか?

田原 働ける限り、働きたいです。まずは90歳がひとつの目標ですね。

東海林 もうすぐそこだ(笑)。僕はこの先、いかにも“おじいさん”という見た目になっていくのが嫌で。シミとかシワとか老人顔、というんですかね、あれがどうも醜い気がして嫌いなんですよ。

田原 東海林さん、全然醜くないですよ。

東海林 今はね、かろうじてまだ大丈夫だと思っていますが……。髪も白髪が嫌なので染めていて、染めたまま死んでいこうと思っています。