80歳を過ぎても第一線で活躍し続けるおふたりが大きな関心を寄せるのが、“老人と性”の問題。ショージ君もびっくり仰天のその実情とは? “性事”から“仕事”論まで、縦横無尽に広がった対談をお届けする。(全2回の2回目。前編を読む)
何歳まで働くか
東海林 今の老人は、若い人よりもはるかにセックスに対する欲望が強いと思いませんか。
田原 若い男は「草食男子」とかいって、セックスに関心が無いらしいですね。
東海林 信じられない(笑)。
田原 僕らが若い頃は、男性は積極的でいささか強引なくらいが良しとされていましたよね。
東海林 今はネットもあって娯楽が豊富だから、若い人は熱中できることが色々とあって、セックスに関心がいかないのかな。
田原 異性と会うのだって、直接ではなくオンラインで良いという人もいるらしいですよ。
東海林 エーッ!? 僕らの時代は“とにかく会う”のが大事なことでしたよね。僕のエッセイや漫画の重要なテーマに「下ネタ」があるのも、僕自身が若い頃に男性ホルモンに左右されていた経験からきています。とにかく「ヤりたいヤりたい」と欲望に支配されていましたから。
田原 アハハ、そうでしたか。僕の仮説ですが、多くの男性は心の奥底では、女性を前にしたら触りたいし、覗きたい。理性が備わっているから実行しないけど。
東海林 うーん、僕は今は覗きたいとはあまり思いませんねえ。
田原 それは珍しいかもしれない(笑)。
求める人がいる限りはずっと働き続けたい
東海林 理性という言葉が出てきましたが、人間は歳をとってボケてくると、理性が失われていきますよね。僕はそれが本当に怖くて。いつか自分も見境なくなって、何をするか分からない状態になり、誰かに迷惑をかけるのではないかと不安なんです。
田原 東海林さんのように文章を書いたり、絵を描いたりしている方は、ボケないと思いますよ。
東海林 いやー、いずれ必ずボケると思います。田原さんは、老いに抵抗したいとは思いませんか。
田原 思わないですね。今はとにかく仕事が楽しい。
東海林 やっぱり、昔から論争するのがお好きなんですか。
田原 僕は論争が好きというわけではないんですよ。今のスタイルは、まだまだ生活が苦しかった時代、会社を辞めてフリーになった頃に、この業界で生き残るために確立したものですね。テレビはとにかく見てもらわないことには話にならないから。僕は昔から興味を持った事柄を徹底して調べて、取材することが好きなんです。
東海林 てっきり喧嘩がお好きなのかと思っていました(笑)。しかしよく86歳までずっと仕事を続けてますね。
田原 誰も辞めろって言わないので(笑)。そういう東海林さんだって83歳でも現役。僕と大して変わらないよ!
東海林 ハハハ、確かにそうだ。僕の仕事は、実力主義といいますか、読者がつまらないと思ったら自然と仕事が減っていくと思っています。求める人がいる限りはずっと働き続けたいですね。