その行動が気になった達樹さんは、ある日電話を切ったあとの親父さんに、何処へ掛けているのか聞こうとした。すると、「達樹、保険の証券をみせてくれるか」と言われる。
達樹さんは言われたままに保険証券を探して渡すと、それを確認した親父さんは「わかった。しもといてくれ」と言い、すぐに返してきた。
このやり取りは、それからほぼ毎日続いた。
気持ち悪い“書き残し”が……
10日ほど経ったあと、いつものように何処かへ電話を掛けたあとに受話器を置いた親父さんは、すぐさま行き先を告げずに出かけていった。
急いでいたので「何かあったんかな」と思い、その痕跡をたどると、電話のそばにA4サイズのルーズリーフが置かれてあった。
そこには、
オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ オニムシ
と書かれていた。
気持ちが悪いので親父さんが帰ってくるまで家で待ち、戻ってきたところで聞いてみた。
親父さんは顔色をグッと変えて「オニムシはおる、オニムシはおる」と呟いた。達樹さんはその形相にゾッとして、それ以上のことが聞けなかった。
とてつもなく冷たくなっていた手
それから2、3日が経ち、寝ている親父さんが苦しそうにしているので、達樹さんはそばに寄って様子を見ていた。しばらくすると、親父さんは布団からグーっと手を伸ばしてきたので、咄嗟にその手を握り返した。
その手は、とてつもなく冷たくなっていた。
達樹さんは急いで救急車を呼びに、電話の置いてある部屋へ移動した。119番に電話を掛け、親父さんの状況を説明している最中、玄関の方で音がした。
電話を切り、すぐに親父さんが寝ている部屋へ戻ったが、親父さんの姿がない。