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小6息子を父親が刃物で殺害…大島てるが語る「歪んだ家庭教育が生んだ“壮絶な事故物件”」

小6息子を父親が刃物で殺害…大島てるが語る「歪んだ家庭教育が生んだ“壮絶な事故物件”」

事故物件サイト運営人が振り返る“2020年の重大事件” #1

2021/01/11
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 小6の息子が目指していたのは市内の有名私立中学校で、父親もその学校の出身者でした。父親は息子を自分と同じ学校に入れるため、日頃から厳しい“指導”をしていました。普通であれば、苦手な教科の勉強を見てあげたり、わからない問題を一緒に解いてあげたり……そんなサポートをする親がほとんどだと思います。

 しかし、この父親は違いました。息子の勉強がうまくいかないと声を荒らげ、暴力を加える。そしてあろうことか、刃物までちらつかせていたのです。

刃物を向けられながら勉強していた息子

 刃物は、最初はカッターナイフでしたが、それがペティナイフになり、最後は包丁になりました。小6の息子は、父親に包丁を向けられながら机に向かい、必死に受験勉強をしていたのです。

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 エスカレートしていく父親の暴力に対し、母親が止めに入ろうとすると「受験もしたこともないやつがガタガタ言うな」と怒鳴られたそうです。父親は事件の2日前には息子を車で連れ出し、逃げられない密室の中で勉強態度について厳しい説教をしました。その際、息子の足を包丁で切っていたことも分かっています。

©iStock.com

 そして夏休みも終わりに近づいたある朝――。いつものように包丁を持って“指導”に当たっていた父親は、息子の態度に苛立ち、遂にはその胸に包丁を突き立てて殺害しました。

 裁判では、父親は「殺意はなかった」と主張していましたが、判決は懲役13年。そして昨年6月に被告側の上告が棄却され、判決が確定したのです。

裁判にも大きな変化が……

 昨年は延期になる公判もあったものの、こうして概ね例年通り、裁判所は動いていました。しかし一つだけ、いつもと違う点がありました。それは、裁判中にその場の全員がマスクをつけるようになった、という点です。

 コロナの感染拡大を防ぐため、今の世の中では、それも当然のことと言えます。しかし、私が懸念しているのは、被告人までもがマスクを着用していることです。

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