警察署や移送中の車内でも“マスク姿”
被告人の表情は大きな“情報”です。「反省しています」と述べるとき、「二度と罪は犯しません」と口にするとき……その際に被告人がどんな表情をしているか、マスクをした状態ではほとんどわかりません。
また、裁判の場だけでなく、警察署や移送中の車内でも、被疑者がマスクをつけていることばかりです。
前提として、逮捕されたときや裁判を受けているときは、「推定無罪」の原則が適用されますので、その人を軽々に犯人扱いすることはできません。また、「顔を晒す」ということに刑罰としての意味合いがあるわけでもないので、「私たちは“犯罪者の顔”を知る権利がある」という主張に妥当性があるのかどうかも、微妙なところです。
「最後まで素顔がわからない」可能性も
ただ、それでも、被疑者や被告人が堂々とマスクをつけられる世の中になったことで、確実に変化は起きるはずです。現状、コロナの終息が見えない状況であり、世間が「マスクを外していい」空気に戻るのは、まだまだ先のことだと言えます。この先数年は、マスクをつけたまま生活をしなければならないかもしれません。
すると、たとえば殺人を犯して捕まった人がいたとしても、その人の写真はマスク姿のものしか見つからない、といった状況も考えられます。人付き合いもない、SNSもやっていない、たまに写っている集合写真はマスク姿で、素顔の写真はほとんど面影のない高校時代の卒業アルバムくらい……そんな人が出てくるかもしれません。
当然逮捕の瞬間も、裁判中もマスクを着用している――すると、新聞やテレビでも報じられるのはマスク姿の写真ばかりになります。そうした人物が何年か刑務所に入り、コロナが終息した頃に出てくる。そのとき、マスクを外した犯人の顔を認識できる人はほとんどいないでしょう。