クラシックなキャバレーは日本であと1店だけ
白いばらが閉店した2018年には奇しくも「キャバレー王」と呼ばれた福富太郎さんの「ハリウッド」赤羽店・北千住店が閉店。昨年春には歌舞伎町の「ロータリー」も閉店し、東京からキャバレーはなくなりました。
キャバレーと呼ばれるお店は数を減らしつつも各地に残っていますが、本来のキャバレーの定義である生バンドを備えて営業しているのは熊本県八代市にある「白馬」のみ。八代亜紀さんがデビュー前に歌っていたことで有名なお店です。キャバレーを体験してみたい方はぜひ!
改めて思う「キャバレー」という場の魅力
白いばらで働いていたことを話すと、「一度行ってみたかったけど行けなかった」と、とくに女性の方から多く言われます。実は女性のお客さんも大歓迎です。白いばらが閉店してしまってから私たちは各地のキャバレーをお客さんとして回っていますが、どのお店でもあたたかく迎えていただき、そのたびにキャバレーという場の懐の深さを感じます。
ホステスもお客さんも合わせて、毎日何百人もが会話し、新しく人と出会い、さまざまな感情を交わしていたのが私たちの過ごした白いばらでした。単にレトロというだけでなく、お店のなかだけ時が止まっているような不思議な空間でした。なくなってしまって寂しい気持ちもありますが、キャバレーという場を必要とした時代が終わりつつあるのだろうとも思います。
閉店から3年、新型コロナウイルスの流行で人が集まること自体が難しくなってしまい、人とただ話すための時間・空間がこんなに貴重で恋しいものになるとは思ってもみませんでした。キャバレーという箱がなくなっても、人と人との親密な時間のための場、そこでしかできないコミュニケーションの場はいつの時代も必要とされるのではないでしょうか。
みなさんにとっての大切な場を思うとき、こんなお店があったことにも思いを馳せていただけたら幸いです。