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駒大10区・石川拓慎「1年前の鋭すぎる眼光」から始まっていた“大逆転の物語”――箱根駅伝2021「TVじゃないと見られなかった名場面」復路編

2021/01/04
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【10区】前回大会ゴール後、駒大・石川選手の“眼光”

西本 さあいよいよ最終10区。駒澤大の逆転劇には本当に驚かされました。ただ、10区を走った石川拓慎選手の激走のストーリーは、前回からつながっているんです。

 石川選手は去年も10区を走っているのですが、最後の最後で早稲田大の宍倉健浩選手に抜かれました。実は昨年、僕はゴールで精も根も尽き果てて倒れ込んだ石川選手の写真を撮っていたんですよ。

前回大会でゴール後、倒れこんだ石川選手 

ポール すごい目をしていますね。

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西本 体はもう動かないのに、石川選手の目は死んでおらず、猟犬のように宍倉選手を睨みつけているんですよ。そもそも今年、駒澤の10区に当初エントリーされていたのは主将の神戸くんでした。

ポール 安定感のある選手で、勝ちを決めるには間違いのない選手です。

西本 10区はうまく凌ぐ、絶対にミスをしない選手を置くのが普通。でも、大八木監督は「去年のことがあったから、石川なら何があっても絶対に前を追うんじゃないか」とエントリーしたのではないかと思うんです。

ポール 大八木監督のお馴染みの檄、「漢だろ!」のブーストがなくても自分自身で追える選手。

西本 そう。駒澤の大逆転は、先頭を走る創価大が落ちてきたからとか、フロックだったとか、いろいろ言う人もいるけれど、そうじゃない。昨年から1年越しで前を追い続けた石川選手だからこそ追いつけたんです。「あの悔しさがこういう形で繋がったか!」と不思議な気持ちになりました。

1年越しで大逆転のゴールへ飛び込んだ石川選手 ©AFLO

 そして試合後、この写真をSNSでアップしたのですが、昨年石川選手を抜いた宍倉選手がそれを見て、「俺が去年負けてたら今年優勝できたのかな…?」とツイートするんです。

 

 昨年現場にいたからこそ見られた場面の続編を、今回はテレビで見ることができて、Twitterでも知ることができた。このことにも不思議なつながりを感じました。

構成/林田順子(モオ)

駒大10区・石川拓慎「1年前の鋭すぎる眼光」から始まっていた“大逆転の物語”――箱根駅伝2021「TVじゃないと見られなかった名場面」復路編

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