プロバスケットボールB3の「さいたまブロンコス」は、新年2021年1月に始まるシーズンに向けて、全主催試合を入場無料とする計画を進めてきました。
しかし、リーグからこの入場無料施策について自粛するよう要請があり、計画の実現は断念せざるを得なくなってしまいました。
実は、リーグ規約のどこを見ても、入場無料が駄目だ、といった明確な規定はありませんでした。各方面にも声をかけて進めていました。しかしながら、過去に(現運営会社がブロンコスのチームを継承する前)、各チームの代表者間で「無料試合の開催は極力控える」旨の“申し合わせ”があったこと、また他チームへの影響が大きいことを、リーグからは理由として示されました。
そこで、私たちは素直にその要請に従い、目前に迫った開幕に向けて方策を練り直し、できる限りの準備に奔走しているところです。
揺らぐ「入場料収入」
全主催試合無料に込めた理念や経緯については他の記事やクラブの公式YouTubeチャンネルで説明していますので、そちらもご覧いただければ幸いです。
実は、ボツになってしまったポスターがあります。私たちの思いが端的にまとめられていますので、せっかくなのでここで掲出したいと思います。
この渾身の策については実現が叶いませんでしたが、コロナ禍の中でも、ブロンコスのファンを増やし、顧客接点をひろげ、より効果的にマーケティングするために「次の手」を考えています。
「次の手」については、本稿の後半で具体的にご紹介したいと思いますが、その前に、今回ブロンコスが打ち出した「全主催試合観戦無料」という方針の意味を、改めてスポーツビジネスの視点から考えてみたいと思います。
今、「入場料収入」という、イベントの主たる収入が、揺らいでいます。
コロナで人を集めることが難しくなり、入り口のエントリーフィーで稼ぐモデルは、どの業界をみても、瓦解しているのが現状です。
奇しくもこの原稿を書いている年末、コロナ禍に苦しむ航空業界で、ピーチ・アビエーション社が、月額2万円乗り放題のサブスクプランを検討中、というニュースが流れました。運賃収入が主である業界に大きな影響を与える施策です。業界は違えど、新しい収益モデルを構想しなければならないフェーズに来ていることを示しています。