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プロスポーツの「入場料収入」は幻想? 2021年、試合は『お金を稼ぐ場」ではない

池田純「スポーツビジネス・ストロングスタイル」#7

2021/01/06
note

試合を「お金を稼ぐ場所」ではなくなる

 むしろ、激変してしまったポストコロナの環境下で経営を成り立たせるために、今こそスポーツビジネスの新たな収益の挙げ方、新しい“鉱脈”を見つけ出すことこそが大切なのではないか、と私は考えます。それによって入場料収入に頼らない経営を実現させることは、コロナ後を見越したスポーツビジネスの新しいあり方を示し、可能性を広げることになるはずです。

 新生ブロンコスは、まさにそれを実現させようと動いていました。

 選手自身も加わった営業の成果として、チームの理念にご賛同いただけるスポンサーを相当数獲得することができました。

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 その結果、実はギリギリではありますが、入場料収入がなくとも年間のチーム運営が可能な財務状況をつくり出すことができたのです。

 

 だからこそ、少なくとも今シーズンは、試合を「お金を稼ぐ場所」ではなく「仲間を募る場所」と位置づけ、そこで未来の発展に向けての足がかりになるような試みをいくつも行う準備をしていました。

 つまり、ブロンコスが目指した「全主催試合無料」は、単なる話題づくりではなく、またいわゆるやせ我慢の施策でもなく、純粋に「ポストコロナを見据えた新たなモデルをつくる挑戦」でもあったのです。

一緒に戦ってくれる仲間=ファンのたまり場を作る

 前記したように、今季は全主催試合無料は行いません。

 が、それでもファンの負担が最大限軽い形での観戦を実現させる仕組みを整えていくことにしました。全試合ではありませんが、理由と意義を明確にしていくなかで、実現を目指していきます。

 したがって、ブロンコス主催の開幕戦2ゲーム(金沢武士団戦、2021年1月16日(土)、17日(日)午後2時試合開始 浦和駒場体育館)は、入場無料での開催といたします(全席指定、事前登録が必要。1月7日(木)10時よりブロンコス公式ウェブサイトで受付開始)。

 また、お子さんについては、この試合を含め、全主催試合について、入場無料といたします。

 我々ブロンコスの一番の価値は、やはりバスケットボールです。選手のプレーです。地域に根ざしながら、地域の人々にお財布に優しいエンターテインメントとして選手のプレーを見ていただく。身近に感じていただく。そうしていく中で、一緒に戦ってくれる仲間=ファンのたまり場=プールを作ることができれば、と考えています。