真夏の東京開催で、本当に大丈夫ですか
鹿島 2013年の橋本聖子さんとの対談では「アスリートファーストで、コンパクトオリンピックであるべきだ」とおっしゃっています。しかし、年々暑くなっている真夏の東京開催で大丈夫ですか。コンパクトさのほうも当初の構想とはだいぶかけ離れているようですが。
馳 それについてはちょっと厳しい言い方になりますが、アスリートに与えられた条件は全員同じ。その中で健康を害さないように最善の努力をし、最強最速、最も美しい演技を目指すのは、アスリートの責務です。もちろん暑さ、湿度対策、そしてテロ対策というアスリートが安心して競技にのぞめる重要ファクターの整備は組織委員会の責任ですが。
鹿島 経費も結果的にどんどん膨らんでいるように見えます。
馳 もともと最初のプレゼンで提示する経費には、警備費や輸送費が入っていないんです。IOCのルールでは、競技会場や選手村の建設費だけのミニマムな提案でよいことになっている。ここが一般にはわかりづらい、誤解を生みやすいところなのだと思います。
安倍一強というのは結果論ですよ
鹿島 わかりづらいというか、えっこんなにお金かかるの? って、後から高額請求をされた感じがします。ずさんな計画でも招致できたのはまさしく「コンサル料」のおかげ? とも言いたくなる。このように森友・加計問題にしろ、五輪にしろ、最近の政治はプロセスがよくわからないまま進んでいるように感じます。ぼくが大好きなプロレスのおもしろさとは、試合結果だけではなくプロセスをはっきり見せてくれるところだと思うんです。政治家、また大プロレスラーであった馳さんは、こうした政治プロセスの不透明さについてどう思われますか。
馳 なるほどね……。ただ、透明性の確保のために国会審議があるわけです。加計問題にしても国会中継をご覧になれば、野党のみなさんができるだけの証拠をもった質問で頑張っていることがおわかりだと思います。それに対して政府側、安倍総理も理路整然と、法律をふまえて対処していることを説明されればよいと思いますね。
鹿島 しかしそこで「一強の驕り」が出たわけです。
馳 ですから一時の感情的な答弁については総理も反省すべきです。
鹿島 安倍さんの一強スタイルについては、自民党内でも異論、反論があるようです。馳さんはどうお考えですか。
馳 安倍一強というのは結果論ですよ。安倍総理が作り出したものではなくて、小池さんが自民党を離党して、都知事として活躍されていたり、民進党がこういう状況になっていたりと、時々刻々と動いていく政局による結果論に過ぎません。