2人が『おもしろ荘』で見せたのは、コーヒーのサイズにまつわる漫才だった。小野が「コーヒーショップのサイズを間違えて恥をかいた」と口にすると、野澤が体を使ってコーヒーショップごと異なるサイズ名の覚え方を披露していく。
しかし小野は、どの店も「スタバと一緒じゃない?」と腑に落ちない。このやり取りが飛躍し、サイズと関係ない「相撲の番付」まで発展する、ほのぼの感とシュールさが同居したネタだった。
小野は山口県出身で微妙に方言も混じるが、永山瑛太のような爽やかなシュッとした見た目、落ち着いた声のトーンも相まって関西の匂いを感じない。それは、YouTubeチャンネル『ダイヤモンドお笑いチャンネル』のネタ動画を見ても明らかだ。彼らのネタや芸風は実に“東京っぽい”のである。
野澤だけがしゃべって動き、小野は一言も発することなく終わる「手漫才」、小野が無表情のまま、あらゆるランキングの1位を「ダンカン」と発表し、ひたすら野澤がノリボケを続ける「気になるランキング」などの漫才が代表的なところだ。
『おもしろ荘』では、平場でのトークにも安定感があった。一発芸で爆笑を巻き起こすのではなく、しっかりとクロストークできる芸人が優勝したことの意味は大きい。今後、ジワジワと味のある芸風で人気者になっていく可能性を感じた。
もう一組の「大阪出身なのに東京っぽい」
もう1組、大阪出身でありながら東京っぽさを感じるのが「オフローズ」(吉本興業)だった。
カンノコレクション(25)、宮崎駿介(28)、明賀愛貴(24)の3人はNSC大阪校で知り合い、2015年に「マイマイジャンキー」を結成。同校を首席で卒業後、コントを主体としたトリオだったこともあり、すぐに上京している。
2年前、次長課長の河本準一から「ジャンキーやったら、テレビに出られへんぞ」とのアドバイスを受け、現在の名前に落ち着いた。
ちなみに「オフローズ」の由来は、よく一緒に銭湯に通っていたヒップホップ好きの同期芸人から「フロー」(ヒップホップ用語で“歌い回し”の意)というワードを勧められたため、“お風呂”と“フロー”をかけたものらしい。明賀は、オフローズになってからサウナ・スパプロフェッショナルの資格も取得している。(「ラフ&ピース ニュースマガジン」インタビューより)。
そんな彼らが『おもしろ荘』で見せたのは、「何者かが女子生徒のリコーダーを舐めている」という切り口から始まる学園モノのコントだ。