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「野球界の松岡修造になりたいんです」 “4年連続日本一”ソフトバンクを支えるベテラン・松田宣浩がいまも最前線で声を出すワケ

2021/01/31
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明るいチームは勢いが出やすくなる

ーー暗いよりも明るいムードの方がいいのは、なんとなく分かります。ただ、チームの強さと雰囲気はどこまで関係するんでしょう。

 例えば昔のホークスって明るいイメージが全くなかったと思いませんか? 僕が入団した時も「何、この暗いチーム」って思ったんですよ(笑)。すごい選手はいるんだけど、みんな堅物で雰囲気が重い。そうなると若手の中に、「一軍に行きたくない」という雰囲気が少なからず出るんですよ。川崎さんがいなくなった2012年も、まだまだ昔の雰囲気を引きずっていた。それがなくなったのは2014年の優勝からですね。明るいチームって勢いが出やすくなるんです。持っている力以上のものが出る。

 

 暗いチームだと負けたとき「なんでこんなにできないんだろう…」という思考に陥っていくんですけど、明るいチームは、練習などの裏付けさえあれば「やってきたことを信じていこう」となる。そうすると本当に思った以上に勝てたりして、いいサイクルにハマりやすい。多少負けても自信があるから落ち込まないし、贔屓目でなく、今のホークスは本当に強いと思います。目に見えない気持ちの強さがなければ、4年連続日本一なんて取れませんよ。

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調子が悪い時こそ人一倍エネルギーを使うべき

ーームードメーカーという存在は、自分が調子のいい時はいいと思うんです。一方で、自分の成績が悪いときにチームを盛り上げるというのはとても難しくないですか?

 そうですね。特にプロ野球選手は個人事業主ですから。どんなにチームメイトに「頑張れ」と言っても、自分が試合に出続けないと意味がない。他のチームにも、自分のチームにも“敵”がいる。ライバルよりもひとつでも上に行きたいというのが本音で、そこはとても難しい部分だと思います。

 

 ただ、プロである以上、それは自分自身でいち早く解決するしかないんです。そのために、僕は調子が悪い時こそ人一倍エネルギーを使うべきだと思っています。頭を使ったり、考え方を変えたり、自分ととことん向き合う。