「イメージすること」の重要性
それと30代に入ってから、想像することも重視しています。
例えば試合前は、相手のピッチャーの球種を頭に思い浮かべます。そこから自分が打席に立って、三遊間に飛ばしたり、ライト前に打ち返したり…というのを想像して、目に見えない透明なラインを頭の中で引いていくんです。
相手がホームランを打たせてくれなそうなピッチャーだったら、比較的簡単なレフト前とかセンター前に、無数にヒットになるラインを描いておく。そうすると意外とその通り打てたりするんです。
これを言うと若い選手はポケーっとするんですけどね(笑)。イメージできないみたいで。でも、案外ベテランの選手はわかってくれるんですよ。それはやっぱり積み上げてきた成功例の違いなんでしょうね。
野球界の“熱い”松岡修造に
ーー松田さんは日本一も何度も経験されて、個人の表彰も受け、プロ野球選手として多くの実績を積んできています。一方で、それだけ長い間ずっと気を張っていて、モチベーションが下がることはないんでしょうか。
「もういいかな」というのは正直、一度もないですね。プロ野球選手には定年はありません。だから1つのホームラン、1つのヒット、1つの勝利を積み上げていって、現役生活が終わったときに、「何本ヒット打ったんだ」「こんなに打てたんだ」と思えるところまでいきたいんです。自分の数字をどれぐらいまで伸ばして現役を終われるか――。いまはそれがモチベーションになっています。
あとは、ユニフォームを着ている以上、数字を伸ばすことは当たり前なんですが、その先の目標として、僕、野球界の松岡修造になりたいんです。だって松岡さん、“熱い”でしょ。初めて言いましたけど、実はずっと思っていました。
僕が熱いと思うの、あの人くらいなんですよ。だから、野球界の松岡修造を目指して、2021年も頑張りたいと思っています! あぁ、ついに言うてもうた(笑)。
写真=三宅史郎/文藝春秋