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事故の約2週間前にも手書きの手紙が
男性は、母親から9月28日付の借用書を手渡されたという。その後、定期的に便箋に入った母親の手書きの手紙がポストに届くようになり、11月13日までで計約10通にも上った。
《今日(13日)は、振り込まれないと思います。11月17日までに振り込みがなければ、18日-20日までの間に、直接私がお借りしている10万2千円と、お礼として私が考えている100万円を取りに行ってきます。申し訳ありませんが、もう少し待っていただきますよう、お願い致します》
最後に男性に届いた手紙から抜粋した本文の一部だ。事故の約2週間前に書かれた手紙からは、母親の切迫した様子が窺えた。
「金を返せ!」と怒鳴り込む騒ぎも
さらに、事故の数日前には、別の近隣住民が母娘の自宅に押し掛け、「金を返せ!」と怒鳴り込む騒ぎもあったという。
昨年9月以降、再び周囲に金銭を無心し始めたとみられる母娘の身に、一体どんな変化があったのか。事故までの約2カ月間、近隣住民から逃げ回るように暮らしていた2人は、どんな思いで一日一日を過ごし、どう追い詰められていったのか。
事故直後、2人の自宅玄関周辺には、段ボールやハンガーなどの荷物が積み上げられていた。その様子を夜逃げだと思った住民らが、たびたび様子を見に来ては扉をたたいた。だが、そこから出て来たのは、室内で作業を進めていた遺品整理業者。
「ご遺族は来ませんよ」
そう告げた作業員の男性は、会釈をして扉を閉めたという。
母娘の人生の歯車は、いつ狂い始めたのだろうか。