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「100億の合意金は誰が持っていった?」慰安婦訴訟、日本政府への賠償判決に韓国ネット世論が憤る理由

2021/01/10

genre : ニュース, 国際

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 韓国の主要メディアも、今回の判決で元慰安婦らの長年の念願が叶ったと評価しながらも、裁判の結果が及ぼす影響については冷静に論じている。

 韓国の3大紙の一つ、『中央日報』は、「米国は、慰安婦合意を評価する立場だったが、今回の判決で解決済みの事案を韓国がまた取り出したと見ることができる。日本はこれを利用し、“韓国は嘘をつく国だ。再び振出しに戻ろうということか”という論理を展開する可能性がある」(電子版1月8日)という専門家の主張を掲載した。

 同じく3大紙の一つ、『朝鮮日報』は、「率直に言って韓日関係は答えが見えない」という政府関係者の言葉を引用し、次のように指摘した。

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「外交部は内部的に“訴訟却下”の可能性に重きを置いていたが、予想外の判決に困惑しているという。元慰安婦らに対する国民の声援とは別に、この判決が韓日関係にとって突出した変数になった」(電子版1月9日)

ソウルの日本大使館前にある慰安婦像 ©文藝春秋

「コロナ対策が失敗したら、また反日。むかつく!」

 インターネットを通じて明らかになった韓国国民の世論も、文在寅政権に決して“有利”ではなかった。

 判決当日、韓国最大のニュースサイトである「ネイバー・ニュース」に掲載された、慰安婦訴訟関連ニュースの中で最も多くのコメントが書き込まれた「慰安婦被害者たち、日本政府に勝訴…裁判所“1億ウォンずつ賠償”」という『聯合ニュース』の記事には、計243件の書き込みがあった。「いいね」が多い順に、上位のコメントは次の通りだった。

〈わずか1億ウォンを受け取るために、この有様かよ。文在寅氏!! 元慰安婦を売って好衣好食してきた民主党議員の皆様!! これでご満足ですか?〉(注※「好衣好食」は贅沢に暮らすこと。「この有様」とは文政権が慰安婦合意を事実上破棄したことを指すとみられる)

〈韓国内での判決に何の意味があるのか。それも被告人もいない席で。国際裁判でなければ意味がない〉

〈コロナ対策が失敗したら、また反日に乗り出すのか! むかつく!〉

〈もう我が国も豊かになったから、そのような問題で国際的紛争を起こさず、国家で補償して終わらせろ〉