韓国・ソウル中央地裁が1月8日に下した、慰安婦問題をめぐる日本政府を相手にした損害賠償請求訴訟の判決が波紋を広げている。
元慰安婦12人が日本国を相手に起こした訴訟の判決で、裁判所は原告側の訴えを認めて、日本政府に原告1人当たり1億ウォン(約950万円)の賠償金を支払うように命じた。
一審判決ではあるが、国際法上の「主権免除」(国家が他国の裁判で被告にならないという原則)の主張を貫いている日本政府は控訴しない方針を明らかにしているため、事実上の最終判決となる。このまま判決が確定すれば、韓国国内の日本政府の財産が差し押さえられる事態も想定されている。
では、韓国でこの判決はどのように受け止められているのだろうか。
慰安婦問題の関係者からは「歴史的な勝訴判決」との声が挙がる一方、日本から見ると意外に思われるかも知れないが、大手メディアや韓日外交の専門家、さらにはネット世論では、この判決に対して“冷淡な反応”が続いている。
「一貫して厚かましい日本政府」「判決を契機に歴史直視を」
今回の判決を受け、すぐに歓迎の声が出たのは、もちろん慰安婦問題の関係者からだった。
原告側のキム・ガンウォン弁護士は「感慨無量だ」と感想を述べ、記者から「韓日関係にさらに大きな影響があるかもしれないが」と問われると、次のように反論した。
「文明国家を自負する日本が1945年の敗戦後、このような反人道的で、反文明的な問題さえ解決していないこと自体が話にならない」
キム弁護士は、強制執行の可能性についての質問には、「強制執行が可能な日本政府の財産があるかどうかをまず検討しなければならない」と即答を避けた。
当然ながら元慰安婦を支援する団体からも喜びの声が挙がった。
「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連、旧挺対協)や「ナヌムの家」など、7つの慰安婦関連団体は、「日本軍『慰安婦』問題の新たな地平を切り開いた歴史的な勝訴判決を歓迎する!」との共同声明を発表した。
彼らは声明書で、「(韓国裁判所の判決は)国際人権法の人権尊重の原則を確認した先駆的な判決」「人権保護の新たな地平が開かれた」と手放しで評価した。また、ソウル中央地裁では1月13日にも同様の訴訟の判決言い渡しが予定されていることから、「1月13日、被害者らが提起したもう一つの損害賠償請求訴訟の一審判決でも、再び(このような判断が)具現化されることを信じている」と付け加えた。
政界でも、文在寅大統領を支える与党「共に民主党」も、次のような声明を出し、判決を歓迎した。