全国から500校以上が参加する高校生たちの写真の一大イベント「写真甲子園」。
本戦は毎年7月下旬に北海道を舞台に行われ、全国11ブロックを勝ち抜いた各校がそれぞれ3人1組で頂点を目指して現地で4日間の撮影を行い、優劣を競い合うことになる。
その大舞台で2017年から3連覇を果たしているのが、和歌山県立神島高校の写真部だ(※2020年は新型コロナウイルスの影響で全国大会は中止)。
個々人の好みの差も大きく、評価の難しい写真というフィールドで、多くの人に感動を与える写真を撮れる秘密は、いったいどこにあるのだろうか?
神島高校写真部の部員たちに話を聞いてみた。(全2回の2回目/ 1回目を読む)
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寒風の吹き荒れるグラウンドでの撮影を終えて、写真部の部員たちが部室へと戻ってきた。各々がカメラを片手にモニターを覗きながら、自分たちの写真を確認している。(※神島高校写真部の皆さんが撮った写真はこちら)
いま、写真部で活動する部員たちは、過去の神島高校の写真部の作品に惹かれて入部した面々が多いという。
部長を務める2年生の湯川紗愛さんは、「入学した時の写真部の紹介ビデオがカッコよくて」入部を決めたそうだ。
――いまはどんな写真をメインに撮っているんですか?
「私はモデルを使って…という撮影が苦手で。基本的には人を撮っているんですけど、近所の人の生活の様子とか、仕事をしているところとか、そういう日常のワンカットを撮るのが好きですね。
もともと神島高校の写真がそういうのが多いんですけど…なるべく人に寄りそって、その人の生活っぽい瞬間を写したりするもの。ちょっとドキュメンタリーチックな感じというか。特に私は写真甲子園を結構、意識していて、そこで撮ることを考えてやっていくうちに、自分にとってはそれが一番いいのかなと思うようになって」
「精神的にしんどい」こともある
――日本一に輝くような写真部ですが、キツイこともあります?
「体育会系クラブは、体力的にしんどいと思うんですよ。でも写真部だと精神的にしんどい部分がありますね」
――というと?
「自分は人とのコミュニケーションは楽しいんですけど、コンテストとなると提出期限がある。そこに向かって撮るとなると、上手くいかないとストレスを感じてしまって。そういう時に先生からダメ出しされると、精神的にズタボロになりますね(笑)。撮りたいものが見つかればいいんですけど、いい被写体が見つからない時はなかなか大変です…」