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「写真甲子園」を目指す部員だけではない

 一方で、同じ2年生の山本和花さんはこんな風に語る。

「自分は街の中を歩きながら目についたものを撮ったりするほうが好きですね。写真甲子園って、『写真甲子園っぽい写真』があるんですよ。紗愛が言ったようなドキュメンタリーチックな人物写真の方が評価される。

 自分の写真は系統が全然、違うんですよ。だから、見る分にはすごく楽しみにしているんですけど、出る方はそんなに意識したことがないですね」

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「写真甲子園はあまり意識しない」という2年生の山本さん

 写真によるドキュメンタリーで人を撮る、ということは、必然的にそれだけ被写体に踏み込んでいかなければならない。

 当然ながら、良い悪いは別として、そこには得意不得意というものもある。必ずしもコンテストに「勝てる写真」が良いということでもないのだ。神島高校の写真部にはそんな懐の深さもある。

「私は撮る相手とコミュニケーションするのが結構、苦手で。ガンガン踏み込んでいかないといけないこともありますし…。オラオラ感、大事です(笑)。あとは顧問の恵納(崇)先生からは定期的に『撮っている枚数がすくない』とか言われます。とりあえず撮ってこい、みたいな。『質より量』というのはずっと言われますね。写真に対しても結構、ボロクソに言われるんで、最初は結構つらかったですね。『辞めたら負けや!』と思って続けましたけど」(山本さん)

 普段から1日1000枚以上もシャッターを切るという彼女たち。その「反復練習」は、なかなかタフなものである。

 

コロナの影響で部活動に変化も… 

 特に2020年はコロナ禍の影響もあり、例年とは違う取り組みも余儀なくされたという。

「普段は授業が終わったら部室に行って、荷物を置いて、撮影に行く人とパソコンでセレクトする人で分かれて。全員が撮影に行く日は木曜日と火曜日。で、来たい人は毎日来る感じです。部室に行けばだいたい、誰かはいますね。基本的には個人で撮りに行く形で、撮るものとかも自分で決めます。

 でも、コロナで学校が3か月くらい休校だったんで、その間は家の中で普段撮らないものを撮ってみたりとか。あとは家のすっごく近所だけ回ったりして。恵納先生からは長文のLINEが毎日送られてきていましたけど、これはこれで今しか撮れない写真だったのかなとも思います」(湯川さん)