「対物性愛」の謎を解き明かす、必見のシーン
さらにジャンヌは、ジャンボとの愛に溺れ、肉体関係まで結ぶようになる。ここで多くの方が「アトラクションとの肉体関係ってどうするの?」と、疑問に感じるのではないだろうか。本作は、そこを幻想的かつ的確に見事な表現をしていて、まさに必見のシーンとなっている。この美しく創造的な場面、その映像は「対物性愛」への理解に、大きな役割を果たすだろう。
しかしジャンヌの幸せな日々は長くは続かない。ジャンボとの関係を母親に打ち明けたことにより、ジャンヌの運命は急激に下降していく。周りは敵だらけになり、ジャンヌは追い詰められていくことに。万事休すのジャンヌは、果たして幸せになれるのだろうか?
この作品をストーリーの最後まで見届けることで、まったく異世界だった「対物性愛」の世界が身近に感じられるだろう。それ以上に、ある日、身近な人物に「対物性愛」の人が見つかったとき、あなたがその人に対し戸惑うことなく「どう考え、振る舞うべきなのか」まで理解できるのではないだろうか。なお、作品全体は、幻想的でポップな映像美にあふれていて、心地よく楽しめるロマンチックファンタジーになっている。
ちなみに、タイトルテロップには「事実に基づいている物語」と記されている。この物語のヒロイン、ジャンヌは実在した人物がモデルなのだ。もしかしたら「対物性愛」はあなたの仲のいい友人や仲間、親族の中にもいるかもしれない。あるいはあなた自身が、自分の中にその片鱗を認めるかもしれない。この機会に「対物性愛」に触れてみてはいかがだろうか。
『恋する遊園地』映画情報
2021年1月15日 新宿バルト9ほか 全国ロードショー
監督・脚本:ゾーイ・ウィットック
出演:ノエミ・メルラン、エマニュエル・ベルコ、バスティアン・ブイヨン、サム・ルーウィック
<2019年/フランス・ベルギー・ルクセンブルク/シネマスコープ/94分/フランス語/R15+>
原題:JUMBO 字幕翻訳:横井和子
配給:クロックワークス
公式サイト
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