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「実は『天までとどけ』は最後まで視聴率がよく、続編となるシリーズ9も検討されていました。しかし、綿引さんはベテランでキャリアもあり、ドラマの制作予算がギリギリでそれ以上の出演料が払えなかった。それで『天までとどけ』は一度終わることになったのです。それ以降も綿引さんは役者として幅が広がり活躍していったので、本当に感謝しかありません。

 奇しくも綿引さんと岡江さんのご夫婦が同じ年に亡くなられたので、本当にちょっとがっかりしたというか、言葉がないですね。綿引さんの訃報が流れた日は、年末にコロナで亡くなった私の長男の納骨の日でした。本当にコロナは看取ることもできず、悲しいですよ。さらに2年前には、私は妻を綿引さんと同じ膵臓がんで亡くしました。最期は体力がなくなり、言葉を話す気力もなくなり、綿引さんも同じだったのかもしれません。

 綿引さんには『ありがとうございました』しかないです。いい仕事をさせていただいて、元気なときの印象で見送るしかないじゃないですか。達者な名脇役をまた一人失ってしまったと思います。綿引さんなしに『天までとどけ』はなかったでしょう」

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岡江久美子さん ©文藝春秋

「天までとどけ」撮影中の綿引さんは子供たちに……

 前出の芸能プロ関係者は、綿引さんの「天までとどけ」の撮影中の様子について、次のように明かした。

「『天までとどけ』の現場では、幼い子供たちが多く自然な空気感を大切にしていたので、あれだけ芝居に厳しい綿引さんが、ドラマが続いた約10年間、一切怒ったことはなかった。それだけ『天までとどけ』は特別な作品だったのでしょう」

 一足先に旅立った岡江さんと再会し、夫婦談議に花を咲かせているのだろうか。多くの人から認められた名バイプレーヤーの死を惜しむ声は天まで届いているに違いない。