2020年の末から日本を襲った新型コロナ第三波。その勢いは止まらず、ついに1月8日から首都圏の1都3県へ、14日からは2府5県を対象に2度目となる緊急事態宣言が発出された。

 そして日々、増加する感染者の数とともに、「医療崩壊の寸前だ」という報道が絶えない。こうした声に疑問を呈しているのが、医療ジャーナリストでもある森田洋之医師だ。

医療現場最前線に必要な支援

 いま鹿児島で介護と連携しながら地域医療に携わる森田医師はこう語る。

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「確かに、新型コロナ肺炎の医療現場最前線で奮闘しておられる医療従事者の方々は、本当に大変な思いをされている。それは紛れもない事実だ。彼らには大いなる感謝と激励の言葉を送りたい」

 その一方でこう指摘する。

「本当に送るべきなのは感謝や激励の言葉でなく、『適切な人員補充』や『十分な休暇』という実質的な支援だ」

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 森田医師がデータで明らかにしたように、日本には人口あたりでいえば世界一の病床数があり、医療機器もそろっている。看護師の数も少なくない。しかも欧米先進国と比べても、感染者数・死者数は圧倒的に少ない。そうした豊富な医療資源のある日本において、

「どうして、必死の思いで踏ん張られている最前線の医療従事者に、支援の手が回らないのだろうか」

 森田医師はこう問題提起する。

日本の医療資源をデータでみてみる

 その分析や見解については、「文藝春秋」2月号へ森田医師が寄稿した記事「日本だけなぜ医療崩壊が起きる」を読んでいただきたいが、ここでは主に雑誌記事では掲載できなかったデータのリンクを紹介していこう。

 まずは記事で紹介された日本の医療資源に関するデータを確認していこう。

 森田医師が分析に際してデータを丁寧に確認するのは、医学部へ入って医師になる前、経済学部を卒業していることが関係している。そこでデータを見る目が養われたことにより、目の前の現象に振り回されることなく分析ができるのだ。