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なぜ「保育園を止めるな」という声は届かないのか

 いま問題だと思うのは、「緊急事態宣言中の保育園への登園自粛要請」を一部の各自治体が勝手に出していることです。これは国の方針に反する要請です。緊急事態宣言が出る前も小学校や中学校に関しては、国は「休校要請はしません」と早めに方針を出してくれたんですが、保育園についてはまだ検討中として不明確だった。そのツケが回ってきてしまった。 

 専業主婦のいる家庭は日本ではもはやそれほど主流ではありません。共働き世帯にとって、保育園がいかに不可欠な公共サービスなのかを未だに政治が理解していない部分があります。国会議員の中で、夫婦共働きで保育園なしにはやっていけない人の比率は、世間一般の比率と比べたら圧倒的に少ないため、われわれ一般社会の常識は理解されていない気がします。

©iStock.com 

「保育園を止めるな」という声はそれなりに強いものであるはずなのに、厚労省は保育園を止めないようにしたほうがいいというような意見をなかなか出さなかった。しかし、もし日頃お世話になっている保育園に「自粛してください」と言われたら、親としては従わざるを得なくなる現状があるのです。

 ですから、政府は緊急事態宣言のように社会を大きく変える措置をとるときは、「保育園は絶対に開けるように」とか「ベビーシッター派遣会社は休業をしないように要請する」とかそういう事を言わなければならないんです。これはガソリンスタンドとスーパーを開けておく、というのと同じですから。

 緊急事態宣言は準戦時体制ですが、その兵站を担っているのは誰か。後方で社会を保たせているのは女性の活躍によるところが大きい。残念ながら、日本では子供や高齢者の面倒をどうやって見るかという点については、共働き家庭も含め、ほとんどを女性が担っているからです。前回の緊急事態宣言の時は、政府がその対策を放棄した結果として、女性のストレスが増えた。秋ごろからは女性の自殺者も大幅に増えてしまっています。この現実を繰り返さないためにも、保育園についてはもっと強いメッセージを国は発するべきです。

#2に続く

  

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