新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づき、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県が緊急事態宣言の適用期間に入ってから17日で10日が経った。政府は13日に、緊急事態宣言の対象地域を栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県に拡大したが、各都県では繁華街の人出に目立った減少はなく、医療提供体制の逼迫は続いている。果たして日本はコロナとどう向き合っていくべきなのか。国際政治学者の三浦瑠麗氏に改めて聞いた。(全2回の2回目/前編を読む)
Q4.政府と地方自治体の連携がうまくいっていないのはなぜでしょうか?
全体の方針は国が決定し、舵を切る。そして地方自治体にはその実行を任せるべきです。どういう地域に高齢者がどのくらい住んでいるかなど、地方の実情は各自治体が一番よく分かっているからです。
ただ正直、現在の各都道府県知事の「ポピュリズム偏重」の政策決定には失望しています。もともと私は地方分権論者でしたが、ここへきて自分の考えを一部改めざるを得なくなりました。新型インフルエンザ特措法は、今までの法律と比べて都道府県知事に強い権限を持たせています。ところが結局、彼らは一番重要な医療体制の拡充にリーダーシップを発揮できなかった。確かに中央政府の無能さも目につきます。しかし知事たちは直接選挙で選ばれることもあり、中央政府にもまして選挙民の圧力に弱い。今回、そうした構造が明らかになったと言えるでしょう。
たとえば、大阪府知事と兵庫県知事の間での競争に加え、最近では和歌山県知事と大阪府知事も反発しあっている。さらには、今回の緊急事態宣言に関しても小池都知事が主導して、埼玉県の大野知事が同調、その後に慌てて神奈川と千葉が続くという話でした。これは、それぞれの県の実情に合わせて判断したというよりも、ほぼ政治的な動きだったとしか言いようがありません。こうした不必要な政治と人気取りが先にたってしまい、合理的な解決策を考えられず、医療体制の拡充もできないのであれば、「知事に任せる」ということ自体が非現実的です。