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「和歌山モデル」は東京や大阪では不可能

 さらに言えば、知事たちは会見を利用しすぎです。例えば小池都知事は記者会見をしてステイホームを呼びかけることで注目を浴びていますけれども、同じだけの情熱で医療体制の拡充に取り組んでこなかったことは明らかです。知事が会見を開けば、メディアも集まりますし、テレビでも放映されて存在感を発揮できますが、そこにいる記者たちは鋭い質問も投げかけないのですから、そんなに頻繁に会見を開く必要があるとも思えません。


会見を行う小池百合子都知事 ©️アフロ  

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 国は国で、縦割り行政の弊害で、感染症を管轄する厚生労働省と経済政策を管轄する経済産業省では連携が取れず、全体像を見ることができていません。省庁横断で物事を考えられていなかったり、都道府県とも連携できていない。完全なクラスター追跡を通じて全ての濃厚接触者にPCR検査をし、軽症者も全て隔離し経過観察をするという「和歌山モデル」が話題になったこともありましたが、それは人口密度の低い和歌山県だからこそできることであって、人口密集地域の東京や大阪では不可能です。これを私は「偽りの解」と呼んでいます。ところが「偽りの解」が東京や大阪にも適用できるかのような印象が広がり、ゼロリスクを求める声が勢いづいてしまい、保健所が疲弊しているわけです。