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デザイン変更による売上逆転

 ヴェルファイアは2008年のデビュー以来、安定してアルファードを上回る台数を売り上げてきた。法人による採用も想定したアルファードに比べ、ヴェルファイアはより押し出しの強いデザインが特徴。それがラージサイズミニバン市場に潜在していた「オラつき願望」ともいうべきニーズを捉えていたことが、売上につながったのだと推測される。

 そんな両者の売上が逆転したのは2018年。

 果たしてこの年に何が起こったのか……答えは明白だ。2017年12月に発表されたマイナーチェンジにおいて、デザインに変更が入ったのである。実際に、両者がどのような変化を遂げたのか見てみよう。

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 まずはアルファードの、マイナーチェンジ前後の写真だ。

アルファード2015年モデルと2017年モデルの比較(TOYOTAウェブサイトより)

 大きく異なるのはヘッドライトの形状と、フロントグリルを縦に仕切るメッキである。後期型ではヘッドライトとグリル部分がシームレスにつながれ、引き締まった印象を与えている。デザインの優劣は個々の主観によるが、ともかくメッキ部分が増えたことでオラつき具合が高まったことは間違いない。

 これを見た限りでは、「やはり威圧的な面構えの方が売れる」という結論にたどり着きそうである。

 次に、売上を落としたヴェルファイアの方も見てみよう。

ヴェルファイア2015年モデルと2017年モデルの比較(TOYOTAウェブサイトより)

 もはや鉄仮面である。マイナーチェンジ前もメッキ加飾が目立っていたが、変更後はサイドのエアダクト(人の顔で言えば頬の部分)のメッキが拡大し、フロントが全面的にメッキで埋め尽くされた印象だ。人を威圧しようとする意思が、そのまま具現化したかのようである。

 オラオラ度が売上と比例するのであれば、ヴェルファイアは前代未聞の売上台数を叩き出しているはずなのだが……。

 いずれも「オラつき願望」にアプローチしたデザインへ変更したものの、このデザイン変更を機に、ヴェルファイアの売上はアルファードに逆転されることとなった。

 なぜだろうか?