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「アルヴェル=ヤンキー」イメージは古い? 購入者が本当に求めているものとは

2021/01/23
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投資家としてのアルヴェル乗り

 買い取り市場における圧倒的な残価率ゆえに、資産運用という観点も兼ねてアルヴェルを所有するユーザーも多い。アルヴェル関連の掲示板における主要な話題は「買い取り相場」や「売るときに査定が上がるオプション・グレード」であり、実際の車の性能や機能についてはほとんど話題に上らない。相場の変化に一喜一憂し、適切な売却タイミングを見計らう様を見ていると、まるで株式銘柄のスレッドに迷い込んだかのような錯覚を抱いてしまう。

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 資産運用的な側面を考慮した場合、「アルファード・ヴェルファイアどちらを選ぶか」という問題は、「株式投資でどの銘柄を選ぶか」という問題と酷似する。「どちらが自分にとって魅力的か」ではなく「どちらがより多くの人にとって魅力的に映るか」ということが重要なのだ。

 そういう意味でも、ヴェルファイアのメッキにまみれたフロントフェイスは、やはり過剰なものとして映るだろう。一度売上が逆転してからは、アルファードとの差は年々広がっていった。「やはりアルファードの方が一般的に魅力的に映るのだ」ということが確証されたことで、「アルファード株」が高騰したという構図だ。

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高騰が高騰を呼ぶ状況に

 2020年5月からの販売チャンネルの統合も、差を広げる大きな要因となった。それまでアルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店での扱いだったのが、全店舗で全車種を購入できるようになった。「ずっとネッツでお世話になってるから、ヴェルファイアにする」というパターンがなくなったわけである。

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 ヴェルファイアのデザインに強いこだわりがない限り、ディーラーはアルファードを勧める傾向にある。アルファードの方が現状、買い取り価格の面で有利だからだ。相場は日々変動しているが、この1月にディーラースタッフから聞いた話では同等グレードで10~30万円開きがあるというから、よほどのことがない限りアルファードを選んでしまうだろう。