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とにかくカネがない…プロ野球「独立リーグ」はどう稼げばよいのだろうか

文春野球コラム ウィンターリーグ2021

2021/01/21

 新型コロナウイルスの感染拡大でステイホームの時間が長くなり、コタツに入って1人で“妄想”に耽っていることがある。

 サッカー界では選手を子どもの頃から育ててきた街クラブや高校の部活に報いる制度として、「連帯貢献金」や「トレーニング費用」という制度がFIFA(国際サッカー連盟)に規定されている。もし同様の仕組みが日本の野球界に導入されたら、その未来は大きく変わるのではないだろうか――。

 そんな思考を巡らせているのは、昨年12月19日、「プロ野球独立リーグの『稼ぎ方』」と題して“公開取材”を行なったからだ。四国アイランドリーグplusの馬郡健社長、ルートインBCリーグの村山哲二代表、九州独立リーグの火の国サラマンダーズの神田康範社長、九州産業大学でスポーツビジネスを研究する福田拓哉准教授をオンラインでつなぎ、フェイスブック上で参加者から質問を募って生配信した。

 NPB球団の幹部やスポーツビジネス界の有名人、ライター仲間や独立リーグの選手など50人以上が結集。NPBのエクスパンション(球団拡張)につながるかもしれない話や、2軍のビジネス化など深い議論を交わすことができた(興味がある方はFBグループに申請いただければ、視聴できます)。

 

NPBと独立リーグの「新たな関係」

 筆者が独立リーグへの興味を強めたのは、10年ほど前から子どもの野球離れが進む背景を取材し、『野球消滅』という本を出版したときだ。NPB球団は普及振興活動を熱心に行なっているが、フランチャイズ制のため、その活動はどうしても地元中心になる。

 対して野球離れがとりわけ深刻なのは地方で、NPBはリーチしにくい。そこに手が届くのは、四国や北陸、北関東などに根差す独立リーグだ。ソフトバンクの王貞治会長が唱えたNPBの「エクスパンション」か、オリックスの湊通夫球団社長が提案した「マイナーリーグ拡大」構想(=2・3軍と独立リーグ球団の再編成)を行えば、子どもの野球離れにも効果があるのではと考えるようになった。

 じつは、NPBも水面下で動き始めているという。先述した公開取材で、BCリーグの村山代表はこう明かした。

「NPBさんとの連携で言うと、いい関係構築ができつつあります。(2019年に)NPBコミッショナー事務局の方がBCと四国の各球団にヒアリングに行かれて、運営状況や足りないこと、NPB球団と一緒にやれることを聞かれました。今はコロナで止まっているけど、そういうことは期待していただいていいと思います」

BCリーグの村山代表 ©中島大輔

 日本初の独立リーグが四国に誕生してから16年。パ・リーグで2度の首位打者に輝いた角中勝也(ロッテ)を筆頭に、NPBに巣立って活躍する選手が増え、プロ野球ファンにもその存在は認知されてきた。

 しかし独立リーガーにとって、NPBの壁は高い。BCリーグの選手で言えば、NPBにたどり着けるのはわずか2%だ。

 NPBのスカウトによると、独立リーグのレベルは社会人の都市対抗野球でベスト16入りするクラブチーム程度。高いレベルで野球を続けたい学生にとって、卒業後、独立リーグより社会人野球のほうが優先的な選択肢になっている。

 独立リーグの課題は、とにかくカネがないことだ。四国やBCの選手たちは月給10~20万円ほどで、さわかみ関西独立リーグは無給、北海道ベースボールリーグの選手は食費や道具代として月に運営費5万円を収めている。

 こうした現状を受け、九産大の福田准教授は問題提起した。

「独立リーグが地位向上する一つの方法は、練習環境や試合環境を整備することです。例えば実業団チームよりいい環境があれば、安心して高いレベルで野球を続けられると思った高校生や大学生が入ってくるようになる。そうすれば必然的にレベルが上がり、ドラフトの上位指名も増えると思います。そういう仕組みをつくるには、しっかり稼いで投資していくことです。野球で一番中心にくるのは選手なので、移籍でどうやって稼ぐかは避けて通れないポイントだと思います」