大島 潜っているといえば、そうかとも思うけど……実は自分でもどうやって書いているのか分からない(笑)。
川越 では、筆が自然に動くままに……。
大島 資料も読むし、書いているのもすごく楽しい。けど、本当に分からないのよね。直木賞受賞後はいろいろと忙しくて小説が書けなかったけど、ようやく時間がとれて『渦』の外伝のような短編が書けたの(「水や空 妹背山婦女庭訓 魂結び 耳鳥斎之巻」『オール讀物』3・4月合併号掲載予定)。この世界に戻れて、本当に嬉しかった。「おかえり!」「ただいま!」って感じで。
川越 『渦』も『ツタよ、ツタ』にしても、大島さんは書かねば生きていけないような人物を書いていると思うのですが、それは作者が投影されているのですか?
大島 私が書いているから投影されている部分もきっとあるけど……。
川越 意識して書いているわけではない?
大島 自分が面白いと思う方向へ書いていくと、そうなっている。進んでいく方向は決まっているので、自分では何もできない感じ……って、言ってること分からないですよね(笑)。
川越 キャラクターが勝手に動きだすということですか?
大島 うーん、たぶん、そう。ちゃんと進んでいくと、続きが読める楽しさがあるのね。
川越 「この続きを私が読みたい」ということですね。
大島 そうそう。
プロットは書けないのか、書かないのか!?
川越 推敲はどのくらいなさいますか。
大島 それはしますよ。書きながら微調整して、リズムを整えてちゃんとした1行にしていきます。ちょっと書いては戻って、を繰り返して慎重にやっていく。
川越 僕は、時間を区切ってもらわなかったらずっと推敲しているかもしれません。『熱源』も編集者さんに読んでもらってから後ろ半分をすべて書き直して、さらにその半分を書き直して。さらにまた、推敲して……終わらんやないかって(笑)。
大島 えー、ほんと、それじゃ終わらないよね。