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インドの大衆食堂の味を思い出す「スパイシーチキン」
ひと口食べた瞬間、インドの旧都市デリーの大衆食堂の味を思い出しました。「スパイシー」とあるだけに、しっかりとした辛さがありますが、それ以上にクローブとシナモンが醸し出す甘く骨太な香りが印象的です。その香りに合わせるような炒め玉ねぎのコクと微かな酸味。
酸味はトマトの他にヨーグルトにもよるものかと思いますが、原材料をよく見るとわずかに「りんご酢」が加えられているようです。ヨーグルトの酸味が高温の加熱で弱まってしまう分の補填というイメージでしょうか。そんなところにも高い技術とこれまでの経験が生かされているように感じます。
バターチキンと比べると好き嫌いが分かれる味かもしれません。スパイスのバランスがいわゆる日本式の「カレー粉」とは大きく異なるクラシックなインドカレーのそれだからです。このことは同時に「インドカレー好きにはたまらない」ということであるとも言えます。
そして昨今の「スパイスカレーブーム」が示唆するように、こういう(日本人から見ると個性的な)香りのカレーが好きになり始めている層は実はかなり厚い。実際にこのカレーは比較的最近加わったラインナップであるにもかかわらずあっという間に売り上げ上位に食い込み、主力定番商品の仲間入りを果たしたようです。
実はこういったタイプのチキンカレーは日本の北インド料理店では案外出会えないものの一つ。そういう意味では、最近スパイスカレーが好きになり始めた人だけではなく、筋金入りのマニアでもニヤリとするであろうカレーでもあります。