日本の国民食カレーライスは牛丼店でも定番メニューです。牛丼界のカレーのトップを走ってきたのは、言わずとしれた松屋。しかし、今年その勢力図に変化が起きたのをご存知でしょうか。
なぜ松屋のカレーはトップを走ってきたのか
万人受けというよりは最初からカレー好きをターゲットにしたとしか思えない辛口で本格志向の松屋のカレーは、カレーマニアからの支持も高く、中には「松屋はカレー屋」「日本最高のカレーチェーンは松屋」と断言する人もいます。もちろんそれはあえての極端な言い回しではありますが、それくらい松屋のカレーはクオリティが高いという事が認められているわけです。
クオリティの高さや辛さだけでなく、松屋のカレーは圧倒的な個性も備えています。これまでにも「これは果たしてカレーなのか?」「もはやこれはスパイスの効いたトマトソースと言うべきなのでは?」という困惑と論争を世に投げかけたトマトカレーや、タイ料理専門店顔負けの本格的なタイ風グリーンカレーなど、チェーン店とは思えない攻めた商品をいくつも繰り出してきたのが松屋です。
ワンコインで食べられるのが奇跡…松屋の「創業ビーフカレー」
少し古い話になりますが、2005年に販売された激辛のスープカレーは「辛すぎて食べられない」というクレームが殺到し、結果販売実績も振るわなかった、という「失敗」もあったそうです。しかしこれも、もし昨今のすっかりスパイス慣れした日本人だったら、しっかり受け止め切れた商品だったのかもしれません。時代を先取りしすぎてしまったのでしょうか。
松屋の会長は「耳の裏が熱くなるくらいでなければカレーじゃない」と言い切る根っからのカレー好きで、かつては自らカレーメニューの開発の陣頭指揮も取っていたと聞きます。そのDNAは現在も脈々と受け継がれ、松屋が個性的かつ本格的なカレーを生み出す土壌となっているのでしょう。
そんな松屋が2019年からレギュラー商品として展開しているのが「創業ビーフカレー」、ある意味松屋らしからぬオーソドックスなビーフカレーです。それまでレギュラーだった「オリジナルカレー」が、スパイスと、そしてそれ以上にニンニクの立った荒々しい味わいだったのに比較すると、見方によっては平凡になったと感じた人もいたようです。しかし私は個人的にこれを極めて高く評価しています。