気品を感じるひっそりとした見た目
木内は秋田駅から1kmほど離れた、久保田城跡である千秋公園の南にある。秋田空港から秋田駅へと向かうリムジンバスに乗ると、30分ほどで木内の目の前で降りることができる。
時刻は開店10分前。
木内は、知らずに訪れたら見逃してしまうような、周りの景色と馴染む見た目をしていた。外壁は茶色と白のツートンカラー。1階は全面ガラス張りのショーウインドウ、上階には大きな窓がいくつも並んでいる3階建てだ。
広い道路側から眺めるとこぢんまりとした印象だったが、側面にまわると100mはあるであろうとんでもない奥行きを有していた。
木内の創業は明治22年。秋田久保田藩、武士の家柄だった木内俊茂が木内商店をはじめた。明治43年には秋田で初のショーウインドウ付の店舗を開き、昭和7年に木内雑貨店を設立して法人化。昭和26年になると百貨店の営業を始め、昭和30年に鉄筋コンクリートの3階建てに増築。昭和32年には県内初のエスカレーターが誕生すると、エスカレーターガールまでいたという。昭和47年になると売場面積が2倍に拡大され、秋田県内から多くの買い物客を集め活況を呈した。現在木内は百貨店協会を脱会しているため、正確には「百貨店」ではないようだが、令和の時代も営業中だ。
かつての開店時には従業員が並び最敬礼で盛大な挨拶が行われていた
「おはようございます。本日はご来店いただきまして、ありがとうございます。ただいまから開店いたします。」
ピンポンパンポーン
ジリリリリリリリ……!
牧歌的な女性の声で開店を知らせたあと、開演ベルのような懐かしい音がけたたましく鳴り響いた。
いよいよ念願の木内へと入ることができるのかと思うと、緊張と興奮で胸が高まる。
かつて開店時には入り口両側に従業員が並び最敬礼で盛大に挨拶が行われたのだと聞くと、より一層この時間は特別なものだったに違いない。