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いきなり!ステーキが大量閉店、ニトリとくら寿司は急成長…「決定的な2つの違い」とは?

企業の明暗を分けた意外な差

2021/01/28

source : 文藝春秋 digital

genre : ビジネス, 企業, 経済

 一時は飛ぶ鳥を落とす勢いで店舗を急拡大した「いきなり!ステーキ」は、2019年後半から客数減で急速に失速して赤字に陥り、さらにコロナ禍の直撃で、今や店舗の大量閉店に追い込まれている。一方でニトリやくら寿司のように、コロナ禍でもいち早く復活して店舗数・売り上げ・利益ともに順調に成長を続ける小売業者もある。彼らの違いは何なのか?

 

 マーケティング戦略コンサルタントであり、『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』の著者でもある永井孝尚氏が、その背景について語った。

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103店舗の大量閉店に追い込まれた、いきなり!ステーキ

 店舗を順調に増やしつつ売り上げ・利益も拡大するのは、実に難しい。好調なので大量出店を続けたものの、ある時を境に急激に低迷する小売業者は、実に多いのだ。

※写真はイメージ ©iStock.com

 最近ではその典型が、いきなり!ステーキだ。一時期は絶好調。2014年6月はわずか4店舗だったが、わずか5年後の2019年12月は493店舗に急拡大。「急成長を楽しむ」というスローガンの下で大量出店を続けた。

 しかし過剰出店で店舗商圏が重なって自社内競合が起こり、さらに急拡大に伴う人手不足とスキル不足で客が離れ、加えて新型コロナ拡大による売り上げ減少も重なり、103店舗の大量閉店に追い込まれた。(同社IR情報より)

 対照的にニトリやくら寿司のように、長年にわたって店舗数・売り上げ・利益をともに着実に成長させ、好調を維持する小売業者もある。

永井孝尚著『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)

 ニトリの店舗数は、2000年は50店舗、2005年は116店舗、2010年は217店舗、2015年は373店舗、そして2020年は615店舗だ。店舗拡大ペースは徐々に上がっているものの、直近5年間は年50店舗弱のペースを守っている。2020年10月2日発表の決算によると、コロナ禍にあっても巣ごもり需要をとらえ、6~8月の売上高は対前年+31%の成長を果たしている。

 くら寿司はさらに手堅く店舗数を増やしている。2005年は126店舗、2010年は252店舗、2015年は362店舗、そして2020年は507店舗。この15年間、毎年25~26店舗のペースを守って着実に店舗数を増やしている。2020年12月4日発表の決算説明会資料によると、4~6月のコロナ禍による打撃から立ち直り、9月以降は「鬼滅の刃」とのコラボキャンペーンもあって対前年度プラス成長に戻っている。

 両社とも店舗拡大とともに売り上げ・利益も成長しており、コロナ禍からもいち早く立ち直り業績も堅調だ。そして業績好調でも店舗を急拡大しない点も共通している。(いずれも両社のIR情報より)