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いきなり!ステーキと、ニトリ・くら寿司の決定的な違いは……

 いきなり!ステーキと、ニトリ・くら寿司の決定的な違いは、「チェーンストア理論」を忠実に実践したか否かだと筆者は考えている。小売業で多店舗を展開する場合、チェーンストア理論は必要不可欠だ。かつてスーパーマーケット各社も1960年代からチェーンストア理論を実践して大きく成長した。

 チェーンストア理論のポイントは、性急に店舗を急拡大せずに、じっくり仕組みを作り込みながら拡大していくことだ。

 このチェーンストア理論は、「国民の豊かな暮らしを実現したい」と考えた経営コンサルタントの渥美俊一氏が提唱した理論である。渥美氏は日本の小売業を長年にわたり発展させた功労者であり、流通業界では広く知られている。そこで渥美氏の著書である『21世紀のチェーンストア』を元に、チェーンストア理論の考え方を紹介していこう。

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※写真はイメージ ©iStock.com

成長に必要不可欠な「2つのステップ」

 チェーンとは「鎖」のことだ。鎖の一つひとつの輪は小さく弱い。しかし一定の法則で多数の輪がつながれば強くなり、大きな力を発揮する。この鎖のように「多数の店をシステムでつなげて、1つの店でできない力を出そう」というのが、チェーンストア理論だ。

 チェーンストアとは、11店舗以上の店を集中管理して販売する小売業者のこと。

 店舗数が増えると大きな効果が生まれ、大規模になればよい商品を安く提供できるようになる。参考までに「お、ねだん以上。」のニトリは615店舗だ(2020年5月時点)。

 ©iStock.com

 ただし、単に店舗数を増やすだけではダメだ。チェーンストアの作業や仕組みを、次のように標準化して作り込んでいくのだ。

(1)     まず、その店舗の運営にベストの方法を発見する。

(2)     関係者を教育する。

(3)    その通り実行できる状態にする。その上で、

(4)     一定期間が過ぎたらルールを改善・修正し、

(5)     上記(1)から(4)の手順を繰り返して、例外発生を減らしていく。

(4)~(5)を実践したニトリやくら寿司は成長を続けている。しかし、(4)~(5)をサボってしまい、途中で低迷し始める小売業者が実に多い。店舗を着実に増やすには、この仕組みを常に回し続けて、仕組みを作り替えながら、改善に次ぐ改善を愚直に行い続ける必要がある。では、なぜそんなことをしなければならないのか?