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2021/01/28

source : 文藝春秋 digital

genre : ビジネス, 企業, 経済

200店舗を超えるとチェーンストアは威力を発揮し始める

 あなたはチームを任された時、ある人数を超えた途端に急に管理が難しくなる経験をしたことはないだろうか? たとえば部下2人の時はあうんの呼吸で一緒に仕事ができても、10名に増えると一人一人と細かい意思疎通ができなくなり、25名を超えると一人一人の行動把握が不可能になり、50名を超えると自分一人では管理できなくなる、という感じだ。

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 小売業でも同じことが起こる。店舗数が5店舗を超えると管理の限界を感じるようになり、20店舗で命令が無視され、30店舗で現場の報告が信頼できなくなる。

 チェーンストア理論では、仕組みづくりをすることで、各々の段階を乗り越える。ここで重要なのが「マス」という概念だ。「ある一定量を超えるとまったく新しい性質を得て、新しいことができるようになる」という意味だ。

 20~30店舗の壁は、まったく新しいマネジメントの仕組みをつくれば乗り越えられる。しかし50~100店舗で次の限界がくる。ここで時間をかけて経験を積み重ね、綿密で周到な新しいシステム設計を行う必要がある。この段階を乗り越えれば従業員の考え方や行動が変わり始め、企業文化のレベルが一気に上がる。200店舗を超えるとチェーンストアが大きな威力を発揮し始め、500店舗を超えると、異次元の効果を発揮するようになる。

 

 ニトリの似鳥昭雄会長はインタビューで、「200店になると交渉力は倍になった。さらに原材料を調達して集中発注して、さらに価格を下げられた」と述べている(日経ビジネスオンライン『似鳥社長、巷に広がる「チェーンストア限界論」に物申す』2015年)。

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 店舗急拡大の末に好業績から一気に転落する小売業者は、この新しいシステムづくりをサボったまま大量出店した結果、管理不能になって低迷しているのだ。要は自ら墓穴を掘っているのである。

 このようにチェーンストア理論では、本部による大量集中仕入れでコストを徹底的に下げ、店舗作業を徹底的に標準化し、例外が出ないようにして規模の経済を追求し続ける。その結果、適切な品質の商品を、常に廉価で提供し続けることができるのだ。