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「うるせえなと突然キレる」「将来への不安を口にする…」 40代、働き盛りの男性を襲う“病気”の正体とは

「夫が嫌いになりそう」になるその前に

2021/02/02
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男性の場合目安がない

 更年期障害は、女性特有のものではなく、働き盛りの40~50代の男性にもある「病気」です。“男性更年期障害”とは、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされる症状のことで、医学上はLOH症候群(late-onset hypogonadism、加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれています。最も多いのは50代ですが、40代以降でも発症します。男性の場合は女性のように閉経前後といった目安がないので、気づきにくかったり、人によっては長引くケースもあります。

©️iStock.com

一般的な老化との違い

 テストステロンの量は、20歳ごろをピークに年齢とともになだらかなカーブを描いて減少していきますが、“ストレス”によってテストステロンが急激に減ることで症状が現れやすくなります。老化の一つですが、“ストレス”が誘因になることが一般的な老化との違いです。男性の40~50代に多いのは、加齢によるテストステロンの減少に加えて、中間管理職になっての職場での責任感や、子どもの受験や親の介護など家庭でのストレスの多い時期だからとも言えます。

AMSスコアでチェック

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 症状は大きく身体症状と精神症状に分けられます。身体症状は、朝勃ちの消失や勃起不全(ED)といった男性機能の低下などの他、のぼせ、多汗、全身倦怠感、筋肉や関節の痛み、筋力低下、骨密度低下、頭痛・めまい・耳鳴り、頻尿などがあります。精神症状としては、不眠、無気力、イライラ、性欲減退、集中力や記憶力の低下などとともに、うつ症状が出る場合も。さらに、男性更年期障害によって、肥満や糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの病気のリスクが高まることも分かっています。症状は多岐にわたり、人によって現れ方はさまざま。「ただの疲れ?」「歳のせい?」などと思い込んでしまい、症状を放置して重症化してしまうことも珍しくありません。もしも夫に心当たりの症状があったら、男性更年期障害なのかどうか「AMSスコア」でチェックしてみてください。AMSスコアは男性更年期障害の診断に世界的に広く用いられている質問票で、17項目の質問に5段階で回答し、それぞれの点数を合計して総点数で評価します。

*各項目を、ない1点、軽い2点、中程度3点、重い4点、極めて重い5点で集計する。
*合計点で男性更年期障害の症状の重症度をみる:17~26点「なし」、27~36点「軽度」、37~49点「中等度」、50点以上「重症」