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 長い時間をかけてアイドル志望生を育成するK-POPは、デビュー前の投資コストがかさむ。それを回収する前に事務所を出ていかれては、ビジネスが成り立たない。そこで長期間の専属契約で移籍を防ぐ必要がある――。

横行していた「奴隷契約」の教訓

 こうした発想から、特に長い専属契約期間を設けていたのがK-POP最大手事務所の1つSMエンターテインメント(以下SME)だ。2004年~2008年デビューの東方神起、SUPER JUNIOR、SHINee、少女時代といった所属グループのメンバーは当初、最長で13年もの専属契約を結んでいた。これがかつて韓国メディアでよく騒がれていた「奴隷契約」の一端だ。

 しかし韓国の公正取引委員会は2009年4~5月に行った調査に基づき、同年7月に契約期間を「最長7年」とする「大衆文化芸術家標準契約書」を公示。これ以後、K-POPアイドルの多くがデビュー7年目をキャリアの節目とするようになった。

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NiziU公式Instagramより

 なおNiziUを生んだオーディション企画“Nizi Project”はJYPEとソニーミュージックの共同事業だが、J.Y.Parkは「NiziUは9人全員がJYPEと契約した我々のアーティスト」と語っている。同じように「最長7年」という規程が適用されるなら、彼女たちもいずれ「7年ジンクス」に直面する日が来るのかも知れない。

KARA、2NE1も7年目を越えられず解散

 旬の短いアイドルグループが、同じ顔ぶれで商品価値を保ち続けるのは容易でない。7年目の契約満了を迎えてメンバー全員が同じ事務所と再び契約を交わすケースは、多くないのが実情だ。

 かつて日本で一世を風靡した女性グループKARAは、デビュー7年目の2014年にニコルとカン・ジヨンが脱退。2016年にパク・ギュリ、ハン・スンヨン、ク・ハラも専属契約を終了し、解散状態となった。同じく女性グループ2NE1も7年目の2016年にミンジが脱退し、約半年後に解散が伝えられている。

KARAにも「7年ジンクス」の影響が…… ©getty

 一方で同じ所属事務所と契約を結び直したのは、前述したSMEの男性グループSUPER JUNIOR、SHINeeなど。女性グループでは、2011年デビューのApinkが代表的だ。日本でKARAと人気を競ったSMEの女性グループ少女時代も2014年に7年目を乗り越えたが、3年後の契約更新で3人が移籍した。

 最近では、ほかでもないBTSの契約更新も話題を呼んでいる。2013年デビューのBTSはまだ契約期間が残っていた2018年、早々と所属事務所Big Hitエンターテインメントと再契約を締結。事務所代表でプロデューサーのパン・シヒョク氏との厚い信頼関係をアピールする格好となった。