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最高幹部が住む家を銃撃

 ところが、今回は分裂直後ほどの勢いはないものの、六代目側から神戸側への組員流出がずっと継続されているのだ。とりわけ九州、中国、関西、東北という各地区における両山口組の勢力比較では神戸側が勝っているという。六代目側のお膝元である兵庫県でも、すでに神戸側の勢力が上回っているのは確実とされる。

 そうした両山口組系の組員が盛んに流動していた2月、3月にも、連日のように両山口組で衝突が起きていた。

 2月23日の午前10時頃、福井県敦賀市内にある神戸側直系の正木組(正木年男組長)本部で銃撃事件が発生。警戒中の警察官に現行犯逮捕されたのは、六代目側直系である二代目中西組(布川皓二組長=大阪)の傘下組織組員だった。

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 同月27日、夜9時頃には埼玉県八潮市内で、神戸側直系の山健組の最高幹部が住む家が銃撃された。外壁から数発の弾痕が発見されたもののケガ人はいなかった。

 また、茨城県水戸市内にある山健組系傘下組織本部では3月5日にトラックが突入し、翌6日には銃撃されて窓ガラスが割られるといった連続攻撃を受けたのだ。

暴対法の適用で鎮静化したと思われた抗争

 しかし、翌7日に警察庁が両山口組間でのトラブルを「抗争」と認定し、また4月15日には暴対法に基づいて、神戸側を22番目の指定団体に指定した途端、それまで頻発していた争いが一気に鎮静化したのである。

 さらに、5月26、27日に「伊勢志摩サミット」が行われるため、両山口組の上層部がそれぞれの傘下組織に「静かにするように」と厳命すると、実際に抗争はほぼなくなった。

 このまま抗争は途絶えるのかと思われた5月31日の午前9時50分頃、岡山県岡山市内の静かな住宅街で、神戸側直系である池田組(池田孝志組長)の髙木昇若頭が胸や腹に銃弾を受けて死亡した。のちに弘道会系傘下組織組員が、岡山県警に出頭して逮捕された。サミット休戦が明けてから、わずか4日目の凶行だった。

神戸側の髙木昇・池田組若頭が射殺された現場(岡山) ©宝島社

 抗争において銃器を使用した殺人として、今度こそは六代目側と神戸側との全面戦争に発展すると大胆予測したマスコミもあった。しかし、現在に至るまで過激な戦いは起きていない。