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車両特攻、銃殺、放火…現在も収まらない“山口組”同士の「抗争」はなぜ起きてしまったのか

『日本のヤクザ 100の喧嘩』より #2

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 16年7月の名古屋、同8月の宮崎、同10月の和歌山では、両山口組間のトラブルが原因で1人ずつ関係者が死亡している。だが、これらはいずれも個人的な問題に起因する事件とされて拡大化する様子はない。

2016年7月に起きた名古屋での射殺事件。抗争に直接関係はないともいわれる ©宝島社

 17年1月11日には、京都市内にある会津小鉄会本部で、代目継承をめぐって弘道会と山健組が激突寸前の事態となった。本来、会津小鉄会は六代目側の親戚団体だが、分裂以降は馬場美次前会長が神戸側の井上組長と兄弟分という事情もあって、非常に親しく付き合っていた。それを面白く思わない弘道会が引き戻すため、跡目を六代目側寄りの最高幹部に替えようとしたという。ところが、神戸側がそれを阻止。1月21日には代目継承式が執り行われ、馬場会長は総裁に就任し、金子利典会長代行が七代目会長の座に就いたのだ。

「代理戦争」が繰り返される可能性は低くない

 しかし、2月7日にも代目継承式が執り行われ、弘道会が推していた原田昇若頭が会津小鉄会の七代目会長に就任したのである。これにより、同時に2人の七代目会長が並び立つこととなった。継承式では弘道会の竹内会長が後見を務め、ほかに山口組の幹部や直参が10人ほどが参列するなど、六代目側からの力が強く作用していることは明らかだった。

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 今後も会津小鉄会で起きたように、親戚団体の跡目問題などで、両山口組が争う「代理戦争」が繰り返される可能性は低くない。

 過去に数多く発生してきたヤクザ抗争とは、かなり異なるかたちで続く六神抗争。このまま終息するのか、それとも激化するのか。今後も抗争の行方に注目である。

日本のヤクザ 100の喧嘩

別冊宝島編集部

宝島社

2017年2月25日 発売

車両特攻、銃殺、放火…現在も収まらない“山口組”同士の「抗争」はなぜ起きてしまったのか

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