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勝手に脳内盤を使っているのかな

――詰将棋を解かれるときに、脳内将棋盤で駒が並んでいますか。藤井二冠は「脳内盤は使わない」と言って話題になりました。

斎藤 よくわからないんですよね。私は解くとき、実際の将棋盤に問題を並べて、駒を動かさずに眺めていることが多いんです。盤を使わずにすべて頭で解くこともありますが、脳内盤はどうなんでしょうね。藤井君の答えを聞いてから、わからなくなりました。

――問題図を記憶して、ランニングなどをしながらその合間に解くという棋士もいます。

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斎藤 私は何かをやりながら詰将棋を解くということができません。ただ棋士は目隠し将棋ができます。自分も昔はできないと思っていましたが、できます。あと、寝ているときに詰将棋が浮かんだりすることもあるので、将棋に関しては勝手に脳内盤を使っているのかなという気もします。

 

私は“早く新しい作品を見たい派”ですね

――ちなみに、解けなかった詰将棋はありますか?

斎藤 けっこうあります。盲点に入ったりしたときなど。そういう時は抵抗なく答えを見ますね。私にとって詰将棋は鍛錬じゃなくて趣味なので、わからなかったら答えを見て感心しているだけです。

――特に棋士の中では答えを見たら負けという風潮もあるようですが。

斎藤 それはありますね。2~3ヵ月前に発表された問題にずっと取り組んでいる方もいます。ただ、私は“早く新しい作品を見たい派”ですね。子どものころから解けずに悩むより、答えを見てそれを吸収する時間を大事にしていました。その問題を2週間ほどしてから解けるかどうかが勝負なのかなと。

 

――詰将棋を作る、ということに関しては?

斎藤 緊急事態宣言の中で3問完成させ、「詰将棋パラダイス」に投稿しました。最近やっとすべて公開されましたが、自分の名前が載るのが喜びですね。読者の方からいい評価のコメントをもらえるのもシンプルに嬉しいですね。

長手数の作品も実戦で役立っていると思います

――作家・斎藤慎太郎として、特に影響を受けた詰将棋作家はいますか。

斎藤 まだそれを言えるほど完成していないので(笑)。「詰将棋パラダイス」に入選したのは9回で、まだまだひよっこです。多い方は100回、200回を数えていますから。

――ちなみに、超長手数の詰将棋は解かれますか。

斎藤 さすがに時間を取られるので、あまり解かずに解答だけ見ていることが多いです。解けたら達成感はありますが、指す将棋には関係なさそうなので。

――詰将棋の勉強は普段の対局で発揮する能力を向上させることにどのくらいつながると考えますか。

斎藤 初中級者の方はともかく、専門分野までいくとほぼ関係ないかもしれません。指し将棋に役に立つ詰将棋は9手くらいまででしょう。でも私は長手数の作品が好きで、そういう詰将棋に取り組むことは、先が見えない実戦の中盤でひたすら読むための鍛錬になっている可能性はありますね。先が見えないと読むのが苦しいですが、私は詰将棋で慣れています。役立っていると思いますよ。