“ジャニーズ所属”でもアイドルと結婚した木村拓哉
結婚に関して新たな展開を見せたのは、女性アイドルより男性アイドルが先だった。いまから20年前の2000年12月、当時トップアイドルだったSMAPの木村拓哉(当時28歳)が、同じくアイドル出身の歌手の工藤静香(同30歳)と結婚した。これを皮切りに、その後、ジャニーズ事務所所属の現役アイドルの結婚は珍しいことではなくなる。
この背景にはまず、アイドルグループの活動期間が、以前とくらべて圧倒的に延びたことが挙げられよう。木村が結婚した時点で、SMAPはすでに結成12年を迎えていた。10代でグループに入っても、10年以上も活動を続ければ当然、結婚適齢期に差しかかる。
ファンからしてもずっと応援をするうちに、アイドルは単なる疑似恋愛の対象という次元を超えて、人生の一部ともいうべき存在となるのは自然だ。ここからファンもメンバーの結婚を受け入れる余地が生まれたといえる。
同様の変化は、木村拓哉の結婚と前後して女性アイドルにも現れ始めていた。契機となったのは、1997年に結成されたモーニング娘。だ。
彼女たちがその後のアイドル界に与えた影響は大きい。メンバーが入れ替わりながらも、グループ自体は継続するスタイルがアイドルの世界に定着したのもモーニング娘。からだろう。
テレビ番組で、過酷な試練を与えられながら成長していくさまが逐一伝えられた点も特筆される。これによって、山口百恵や松田聖子の時代にはどこか世間と隔絶した雰囲気を漂わせていたアイドルの世界に、現実社会と地続きのリアリティが持ち込まれたからだ。
さらにいえば、メンバーの年代の幅広さからいっても、モーニング娘。はほぼ前例がないグループだった。1期生の最年長の中澤裕子は、OLを経てグループに参加した時点で24歳になっていた。これに対して同期の最年少の福田明日香は当時まだ12歳だった。一回り近くも年齢が離れたメンバーが一緒に活動するアイドルグループなど前代未聞だろう。