「最近はこんな風にフォーム変えてな~」
「バッティング楽しくなってきたわ!」
まるで別人である。
楽しそうにバッティングの話をするのは、球界を代表するホームランバッターでもなければ首位打者でもない。守備職人のDeNA大和だ。阪神在籍時には外野手登録となった2014年にゴールデングラブ賞を獲得。その守備力は2017年オフにDeNAへの移籍が発表された際に「内外野の守備だけでも、打率3割以上の価値がある」と高田繁GMが絶賛するほどである。その期待通り、移籍1年目から遊撃手のレギュラーとしてハマの守備を支えている。そんな守備職人の大和が、DeNAに移籍してから会話の内容が激変したのだ。
阪神在籍時は「捕球するとき、(グラブ)ポケットへの入り方がこうで……」「打球への1歩目の切り方が……」と、こちらから打撃に関する質問を投げかけない限り、口にするのは守備に関する言葉がほとんどだった。しかしハマの大和になってからは、口を開けばバッティングの話ばかりになった。しかも、非常に楽しそうなのである。
33歳で打撃成績が向上した理由
ここで打撃成績を振り返ってみる。(100試合以上出場した2012年以降)
【阪神タイガース】
2012年 .257
2013年 .273
2014年 .264
2015年 .225
2016年 .231
2017年 .280
【DeNAベイスターズ】
2018年 .244
2019年 .237
2020年 .281
コロナ禍で試合数が減少したとはいえ、2020年は打率.281、本塁打は4本とプロ15年目にしてキャリアハイの成績を残した。33歳で打撃成績が向上した理由。それはチーム内の活発なコミュニケーションにあるようだ。
「どういう感覚で打ってる?」
昨シーズン首位打者に輝いた佐野恵太や2017年の首位打者・宮﨑敏郎など好打者が多いDeNAでは、挨拶のようにバッティングについての会話が飛び交うという。阪神在籍時は“若虎”扱いだった大和も今はチーム最年長野手。しかし、若い選手たちに教えを乞うことに恥じらいは全くない。
「聞くことも教えることもみんな遠慮とか恥ずかしいとかないね。意見交換がめっちゃ多いよ」
年を重ねるにつれて、若手の頃のようにコーチ側から細かい指導を受ける機会はもちろん減る。だからこそ、いいお手本となる後輩たちの意見は貴重なのだ。「昔に比べると自分でめちゃくちゃ考えてバッティングするようになった」