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2021/02/08

教員に対する世間の目

 どこかで教員が事件や事故を起こすと、それに対してマスコミは一斉に取材して教員や学校をバッシングする。その教員個人の資質や品性の問題であっても一般論として報じられることも多い。そうなると、行政や教育委員会は対策を打ち出し、教育活動を適切かつ熱心に行っている教員もその対策への対応を必ずしなければならなくなる。具体的には新たな調査・アンケート、レポート作成、校内研修等々が課されることになり、それにより、一層多忙さに拍車がかかるのだ。教員に対する世間の目は、なぜか非常に厳しい。

©iStock.com

 10年以上の経験を積んだ中堅教員、特に女性教員が家族問題で退職する例は後をたたない。この世代の教員は私生活では結婚~出産の時期でもある。教員の出産休暇や育児休暇の制度は多くの民間企業と比較すれば、確かに恵まれたものとなってはいる。けれども、仕事の多忙さは長時間労働を避けられないものにしており、子育て真っ最中の教員は、それらの休暇を取ることで、自らの仕事への向き合い方に悩むことにもなる。その結果、大木さんのような生徒思いで責任感の強い教員を教壇から去らせる事態が生じている。

教員は全世代で独身が多い

 その一方で、全世代で教員には独身も多い。長時間労働に疲れ、休日も部活動の指導や教材研究にあてるため異性との出会いが少ない。結婚どころが、交際すら何年もしていないという人が、得てして仕事熱心な教員に多いのだ。

 文科省他が考える教員のライフプランには、その教員の私生活や幸福感の視点が全く入っておらず、あくまで学校運営の視点で考えられている。仕事にエネルギーのほとんどを注ぎ、私生活に大きな問題を抱えている教員が、これから社会人、家庭人となる子どもの教育にあたることが果たして良いのか、真剣に考えるべき問題である。

教員という仕事 なぜ「ブラック化」したのか (朝日新書)

朝比奈 なを

朝日新聞出版

2020年11月13日 発売

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